

朝の風が 私の袖を引いた
白い息が 街にまぎれた
ドアの音が 静寂を裂いた
カバンが 地面を打った
あの子は 何も言わずに
靴先で 未来を蹴った
廊下の窓際で 泣いてた子
先生は見てるのに 黙ってた
チャイムの音だけが 響いて
みんなが通り過ぎた
私もその中のひとり
見てないフリ してただけ
教室のいちばん後ろの席
ノートを握る手が震えてた
笑い声の中 その子だけ
時間が止まっていた
視線が合いそうになって
私はまた 目をそらした
誰も何も言わないまま
今日も世界は動いてた
本当は聞こえてた声を
私は耳の奥で消した
いちばん弱いのは
きっと 私だった
放課後のバス停で
制服のまま怒鳴られてた
誰かが遠くで笑ってて
私はポケットの中で
爪を立てて震えてた
声は風に消えてた
ぼやけた言葉の矢印
名前もないまま突き刺さる
スマホの向こうで 誰かが笑ってた
それが私のことだって
言わなくても わかってた
見て見ぬフリをしてたのは
世界じゃなく 私だった
振り向いたら 敵は
ずっとここにいた
誰かの痛みを避けながら
今日も風をよけてた
「大丈夫?」なんて言えない
その言葉が怖かった
いちばん臆病なのは
私の心だった
空は 何事もなかったように
青くて ただまぶしくて
私でもジブンに 抗えるかな
敵は 私の中
いつか この声で
誰かを守れるように
- 作詞者
CACHO CABARO
- 作曲者
CACHO CABARO
- プロデューサー
CACHO CABARO
- ボーカル
CACHO CABARO

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知らん顔のセカイ
CACHO CABARO
静かな朝、カバンを地面に叩きつけたあの子の背中から、この歌は始まりました。
廊下、教室、バス停、そしてスマホの向こう。
「見て見ぬふり」をしてきた自分と向き合う、等身大の心の記録です。
誰かの痛みを見過ごしたとき、自分の胸の奥に小さなトゲが刺さる。
そのトゲの名前は「他人」ではなく、「私」。
叫びではなく、静かな声で――。
この歌は、自分と向き合うすべての人へ贈るメッセージです。
アーティスト情報
CACHO CABARO
奈良発、青春のきらめきと儚さを歌い上げるシンガーソングライター。 バンドサウンドを基盤にしながらも、アコースティックな温もりとデジタルの透明感を自在に行き来する音作りで、日常の風景をドラマのワンシーンに変えてしまう。 透き通った中に少しハスキーさを帯びた歌声は、どこか懐かしく、聴く人に自分自身の青春を重ねさせる。 「制服の袖が揺れる登校風景」「夕立ちのあとの青空」「終電に揺れる窓の灯り」――そんな普遍的で誰もが経験する情景を、鮮やかに描き出す詩世界は世代を超えて共感を呼んでいる。 活動名「カチョカバロ」は、特定の意味を持たず、響きの心地よさだけで選ばれたもの。意味に縛られないからこそ、音楽そのものに自由さと広がりを与えている。 これまでに発表した楽曲はインディーシーンを中心に口コミで広がり、ライブハウスやSNSで「青春の残像を切り取るアーティスト」として注目を集めている。 聴くたびに「昨日の自分」「あの日の記憶」と再会させてくれる音楽――それが、カチョカバロの魅力である。
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