

窓辺で揺れる 匙先の花風
寂しさばかりに 大概ごまかされ
思い出すたび ようやく心晴れ
椅子を引く音に 食卓の面影
味噌汁の向こう 湯気越しの声
僕のこれからと 夢を見届け
目を閉じるたび 欠けない微笑み
庭先を染める 枯葉に木漏れ日
別れを知るほど 春過ぎ脆いよ
夕暮れに残る 杏色の記憶
季節が巡れば 日々は色香濃い
指先が触れた 引き出しの便り
両手に伝わる 茶碗のぬくみ
片付ける前に わざとゆっくり
あの日と同じく 包み込んだ手を
ページに挟んだ 古い献立帳
匙に春を ひと掬い
君との季節を 悲しみだけにしない
笑った時間は 消えずに混ざって
これからの僕を 静かに養う
匙に春を ひと掬い
空いた椅子にも 穏やかな日が来る
会えない今日にも 君は息づいて
暮らしの続きを 優しく支える
棚の奥にある 指跡残る瓶
蓋を開けたなら 海が綻ぶ日
名前を呼ぶたび あの日のあなた
風に揺れている 窓際の若葉
記憶を結んで 言葉・糸辿り
ほのかに戸惑い 遅咲きの香り
歩いてみるほど これ無理とか多い
季節を越えても 袖口の名残
箸を置く音だけ 夕食の静けさ
それでも浮かぶ 空想・恋・夢だ
刻み込め証 木匙の手触り
日々へ溶けゆく 痛み越えた愛
ふいに蘇る 台所の口笛
窓を開けるたび 太陽と踊る日暮れ
古い録音から 荒いデモ聴く
座るたび思う 花冷えの椅子
匙に春を ひと掬い
君との季節を 涙で閉じたりしない
交わした言葉は 暮らしへほどけ
迷った足元を 静かに整える
匙に春を ひと掬い
明日の献立を また考えてみる
僕が生きるたび 君も日々を渡り
何気ない場所で 隣にいてくれる
ページをめくれば 甘夏の暦
あなたの言葉や 花が懐に
寂しさの蔓が きて絡んだって良い
今なら渡せる 言えなかった礼
迷いも混ぜ込む 明日への匙加減
思い出の庭で 舞う絵と咲いた縁
二人分ほどの 春を盛る皿
あなたの優しさ ちゃんと飛ぶから
匙に春を ひと掬い
君との季節を 終わりに数えはしない
食卓に座り 今日を噛み締めれば
懐かしい声が 明日を支える
匙に春を ひと掬い
会えない日々にも 優しさは育つ
君を忘れずに 僕は歩いてゆく
新しい季節へ 記憶を連れながら
空になった皿を 重ねる夕べ
匙には小さな 温もりが残る
- 作詞者
知花タイ
- 作曲者
知花タイ
- ミキシングエンジニア
知花タイ
- マスタリングエンジニア
知花タイ
- ボーカル
知花タイ

知花タイ の“匙に春”を
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知花タイ
アーティスト情報
知花タイ
2007年(12歳)、沖縄の地元コミュニティで創作活動を開始。次第にインターネット上の個人サイトや2ch等に創作物のアップロードを始め、名義や拠点を転々としながら不安定な活動をしていた。30歳の年となる2025年、本名に近い“知花タイ”としてアルバム配信を開始した。
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