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大袈裟なストリングスや、安易にエモーショナルなビルドアップ、J-POPの王道バラードにありがちな過剰なロマンティシズムを徹底的にパージし、「スマホや鍵をどこに置いたか忘れ、何をするつもりだったかも忘れ、挙句の果てには目の前にいる家族に気づいて『あ、そこにいたんだ』と苦笑いするような、愛おしくも少し不器用な日常のディテール(slightly clumsy daily life)」をオーガニックに切り取った、BPM85の極上アコースティック・ポップロック(Communal pop rock)です。鍵盤の隙間から零れるリビングルーム・ピアノの温かい質感(living room piano)と、完璧なデジタルクォンタイズをあえて放棄した人間の細かな呼吸に合わせたわずかなタイムのズレ(slightly imperfect performance)が、初めて聴くのにどこか懐かしい「四音の感情的なモチーフ(four-note emotional motif)」に乗って、すぐ傍で鳴っているかのような温かい空間(empty room warmth)を演出します。
最大の快楽は、安易にドラマチックなカノン進行などを意図的に避けながらも、圧倒的な親しみやすさと童謡のような口ずさみやすさ(nursery-rhyme memorability)を獲得したその引き算の音響設計。ドラムは人間の心臓の鼓動を思わせる、控えめな歩行テンポの生ベース&スネア(heartbeat drums / restrained live drums)を徹底。ボーカルはマイクからわずか数センチの至近距離で捉えられた、ピッチ補正(オートチューン)無しの温まくクリアな男性リード(warm clear male vocal)。ヴァースでは呟きに近い平熱の会話調(spoken-sung phrasing)で進みますが、サビ(コーラス)ではふっと体温が上がり、誰もが自然と歌える母音の並び(instantly singable vowel shapes)の背後で、小さな部屋で何人かがそっと重ねたような微小なハミングやコーラス(communal pop rock)が合流します。中盤のブリッジでは、全ての楽器が消滅してピアノだけになり、生々しく深い溜息(deep sigh)と、それに続く静かな足並みのフックを敢行。10年後の何でもない日にも愛される、ただいまと言いたくなる傑作アート・ミニマリズムです。最後はスタジオの自動フェードアウトに逃げることなく、「(wait, what day is it?)」というあまりにも生活感の漂う呟きの直後、ピアノの和音があえて未解決の余韻を残したまま、言葉の途中でリミッターのゲートがプツンと静かに遮断されます。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。