歌詞

もう影はちらつかなくなったな

悲しい訳ではない、虚しい訳でもない

ただ少し、息を吸って吐いて

吸って、吸っては吐いた時間の雲が浮かぶ

都合良く悲しくなってみたり

あやふやな記憶をでっちあげて

風船のように消費していくみたいな感傷を

ヤニ臭い横断歩道の先で

瓦礫へと移り変わった場所も

風にゆれていた ふわり遠くでゆれていた

都合良く全部うなずいていた

あやふやな話を飲み下して

風を見るように返した掌と肯定と承認を

ドブ臭い排水溝の街に

そういえば何の思い入れもない

あの日の君は ぷかりと奥でゆれていた

凍れる寒さが終わりを迎え

華やぐ蕾に憧れていた

気付かずに色を鬻いで去ってった

あの日の君は

春の亡霊だ

春の亡霊がゆれていた