

烏丸御池で地下鉄を降りる。
改札を出たところで会社の先輩に会った。
「あら、早いね」
そう言われた。
時計を見る。
始業まで三十分ある。
褒められたんやろか。
遠回しに暇やと言われたんやろか。
地下通路を歩きながら考える。
いけずやなあ。
昼。
四条河原町。
取引先との打ち合わせが終わる。
担当の人が言う。
「さすが京都の人は上品ですね」
私は大阪出身や。
訂正するほどでもない。
でもそのままにされる。
いけずやなあ。
午後。
寺町通を歩く。
昔からある喫茶店。
アイスコーヒーを頼む。
店主が静かに置きながら言う。
「今日は観光の方が少ないですね」
私も観光客みたいな顔してたんやろか。
アイスコーヒーを見つめる。
いけずやなあ。
夕方。
出町柳。
鴨川沿いを歩く。
ベンチに座るカップル。
男の人が言う。
「君みたいな人初めてやわ」
女の人が笑う。
その十分後。
別のベンチでも同じセリフが聞こえた気がした。
気のせいやろか。
いけずやなあ。
夜。
先斗町。
好きな人から連絡が来る。
「今度また飲もう」
少し嬉しい。
続きが届く。
「みんな誘っとくし」
画面の明るさを下げる。
鴨川の水だけが黒く流れている。
いけずやなあ。
帰り道。
阪急京都河原町駅。
ホームのベンチに座る。
今日一日。
誰も意地悪なんかしていない。
みんな親切やった。
みんな笑ってた。
みんな感じ良かった。
なのに。
なんでこんなに引っかかるんやろ。
電車が来る。
窓に映った自分に向かって小さく言う。
「いけずやなあ」
誰に言ったのかは分からなかった。
- 作詞者
MASAQUI
- 作曲者
MASAQUI
- プロデューサー
MASAQUI
- プログラミング
MASAQUI

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いけずやなあ
MASAQUI
いけずやなあは、京都の街に漂う説明できない違和感を描いた楽曲です。
誰も意地悪ではありません。誰も悪いことをしていません。それでも何かだけが少し引っかかります。
烏丸御池から先斗町まで。京都の風景を歩きながら、人と人との距離感を観察する物語です。



