

君の影を 指でなぞってる
蝉の声が 夢の外から届く
日記の余白に 滲んだインクの匂い
もう 何年前になるんだろう
君が 風鈴みたいに笑った夏は
校舎の影 夏服の袖
机の上に広げた文庫本
ページの向こうに 誰かの心を探してた
現実より ほんの少しだけ
遠くにいたくて
ふたり 名前も呼び合わず
それでも なにかが通じた気がした
麦茶のグラス越しに揺れていた
青と白のコントラスト
ねぇ あの空の青さ、今も思い出せる?
蝉が鳴くたび 時間は溶けて
何かを失くす音がした
君が置いていった手紙のような風が
私のスカートの裾を やさしく攫っていく
「またね」って言葉は、
未来を約束する呪文じゃない
今に触れられない者の 最後の逃げ道だった
雲が流れて、陽が沈んで
金魚すくいも、花火の匂いも、
ぜんぶ 物語の断片みたいに
ふわふわと浮かんでは消えていく
君が最後に読んでいた本、
いまも私の本棚にあるんだよ
しおりは あの夏のまま、止まったままで
もし 時間が巻き戻せたらなんて
そんな言葉、書きたくなかったのに
夜の帳が落ちるたび 私はまた
同じページをめくってしまう
あの夏は 二度と来ない
知ってる、わかってる
それでも私は きっとこれからも
この物語のなかに、君を探し続ける
ただ一行、書けなかった言葉だけが
今日も胸の奥で 蝉の声を待っている
蝉の声を待っている
それでも私は 言葉を失くしたまま
思い出のなかを ひとりで歩いている
あの日書けなかった手紙の続きを
今も 胸のどこかで そっと綴っている
風がふわりと ページをめくるたびに
季節の隙間から 君の影が覗く
もう戻れないと 知っているのに
私はまた あの夏へと 筆を伸ばしてしまう
- 作詞者
AmehAs
- 作曲者
AmehAs
- プロデューサー
AmehAs
- ボーカル
宮舞モカ

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あの夏 (feat. 宮舞モカ)
AmehAs
アーティスト情報
AmehAs
音楽が無いと生きていけない、眼鏡がないと生きていけない大人です。
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