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《響きの美術館 — 西洋名画十景》は、西洋美術史に輝く10枚の名画を、歌詞のないクラシカルな室内オーケストラ作品として描き直した“聴く美術館”です。ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》の謎めいた微笑、ゴッホ《星月夜》の渦巻く星空、レオナルド《最後の晩餐》の神聖な沈黙、ムンク《叫び》の声なき不安、フェルメール《真珠の耳飾りの少女》の親密なまなざし。さらに、ミケランジェロ《アダムの創造》の生命の火花、ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》の光と風、ゴッホ《ひまわり》の黄金色の儚さ、ピカソ《ゲルニカ》の反戦の哀歌、ダリ《記憶の固執》の溶けゆく時間が、それぞれ異なる音の風景として立ち上がります。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ハープ、木管、弦楽、チェレスタが織りなす響きは、絵画の色彩、光、沈黙、視線、祈りを音へと変換します。静かに深く、何度聴いても新しい表情を見せる、名画へのもうひとつの入口です。
坂本松昭は、音の美しさを直感だけでなく、緻密な観察と構成力、そしてデータに基づく独自の視点によって磨き上げる音楽家・作曲家です。旋律、リズム、和声、間合い、音色の変化、そして聴き手の心の動きを丁寧に読み解き、一つひとつの音に明確な意味と役割を与えながら作品を紡ぎ出します。 その創作は、偶然のひらめきに身を委ねるだけではありません。感情がどのように生まれ、どの響きが記憶に残り、どの展開が心を動かすのかを見つめ、音楽の中にある見えない法則を探りながら、楽曲全体を一つの物語として深めていきます。データは、感性を制限するものではなく、むしろ感情の輪郭をより鮮やかに描き出すための手がかり。坂本はそこに人間らしい温度と詩情を重ね、理性と感性が響き合う音楽を生み出しています。 演奏においても、音色の温度、余韻の長さ、沈黙の質まで繊細に設計し、聴く人の記憶に静かに残る表現を追求しています。言葉と音、構造と情緒、分析とひらめきをしなやかに行き来しながら、坂本は時代の空気をすくい取り、人の内面にそっと触れる音楽を描き出します。緻密に組み立てられた音の秩序と、心に寄り添う温かなまなざしが共存するその作品は、現代的でありながら普遍的。坂本松昭の音楽は、響きの奥にある必然を見つめ、感性を確かなかたちへと結晶させる、新しい時代の音楽表現です。
ミューズ・ピアノ・ワークス