Lyric

たちこめる湯気

浴室の窓をあける

流れ込む空気

小刻みに体揺らす

二人入るともうぎゅうぎゅう

小さなバスタブ

はやる気持ち抑えつつ

つま先から恐る恐る

ザーっと音たてて

溢れたお湯が滝みたい

サーっと吸い込まれ渦をまく

ちゃぷちゃぷ水面をたたく

キャッキャッ子供みたく

はしゃぐ君の声だけ

バスルーム響いてる

跳ね返る水しぶきに目を細める

湯気の奥

ぼんやりと見える

無邪気な笑顔

火照った頬

染まるピンク色

上気した肌に

冷たい風が心地いい

お互い無言のまま

ぼーっとしたまんま

一瞬 ポッと出ては

消えていく会話

これといって何も

することない日曜の午後

つけっぱなしのテレビの音

ドアの向こう

まるでここだけ

切り取られたかのような

過ぎていく時間

ゆっくりと

ハラハラはじける気泡

水の上キラキラと

光の粒が踊ってる

切ったばかりの

前髪が短いと

尖らせた口元

水面に映る

しわしわにふやけた

手のひらを見せては

体まるめて

浴槽に身を沈める

目を閉じると

海の中ぽつんと

ゆらゆら漂う

一匹の深海魚

遠くから君の

声が聞こえる