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「夕暮れのスーパーマーケットで、賞味期限を眺めたりシリアルを選び間違えたりするだけの、あまりにも凡庸で、だからこそ泣きたくなるほど愛おしい二人の時間」を、ザラついたローファイ・インディ・ロック(Lo-fi indie rock)のフレームに収めた、BPM120の歩行速度(Walking pace)で進む極めて内省的で不敵なアート・トラックです。楽曲を足元から支えるのは、完璧なデジタルクォンタイズを放棄し、手数の多いゴーストノートが小刻みに跳ねる「乾いたアコースティック・ドラム(dry live drums with active ghost notes)」。Lchから幽霊のように揺らめく薄いトレモロギター(warm electric guitar with subtle tremolo)と、センターの最前線に定位してベースラインをゴリゴリと主張させる「フロント・パン・ベース・フォワード(front-panned bass-forward mix)」が、安易なストリングスやトラップを排した、小さく密閉された日常の空間(Intimate room sound)を演出します。
最大の特徴は、作為的な「エモさ」やTikTok向けの音圧至上主義を徹底的に拒絶したその実存感。ボーカルはマイクからわずか5cmの至近距離で捉えられた、ピッチ補正(オートチューン)無しの男性リード。ヴァースでは耳元でボソボソと言い訳のように呟く平熱の会話的フレーズでまくし立てますが、サビ(コーラス)に突入した瞬間、それまで狭かったステレオ幅が左右140%のパノラマ(Panoramic open bloom)へと劇的に全開放され、アナログアンプの温かい残響が多幸感と切なさを同時に爆発させます。中盤の2分12秒では、何の前触れもなくすべての楽器が完全消滅し、Rchのコードドローンと「素の声」だけになる無警告の引き算を経て、ラストのサビの直前には「丸1小節間完全に無音になる真空空間(1-bar vacuum gap)」を敢行。直後のラストフックでは、音量が最大化したままステレオ幅が140%から100%の絶対的モノラル(mono)へと急収縮する、生理的な目眩を引き起こすステレオ幅コントラクションを適用しています。最後はマイナス10 {LUFS}というダイナミクスを残したマスタリングのまま、言葉の途中でリミッターがゲートを閉じるように遮断。残響を1ミリも残さずスパッと完全な真空の静寂へと着地する、世界の愛おしい不完全さを祝福する大傑作トラックです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。