lindcy (a priciest)のジャケット写真

lindcy (a priciest)

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静寂が騒音として聞こえる瞬間がある。
街中に、音楽が溶け込む瞬間がある。風が木々の間を抜け、遠くの波が岸辺にそっと触れるような——Kinseyの「lindcy(a priciest)」は、そんな瞬間を捉えたアルバムだ。彼の音は、時間そのものを緩やかに引き延ばし、聴く者をどこか懐かしくも未知の場所へと誘う。
このアルバムは、2025年の春、まだ寒さが残る4月の一週間の中で録音された。窓の外にはザラザラとした壁と、灰色に染まる空。Kinseyは、garegebandの付属midiシンセサイザーとフィールドレコーディングを手に、自然と自身の内面を重ね合わせた。1曲目の「stell」は、真空の部屋を漂うような声で始まり、微かに聞こえる工事の音が現実と夢の境界を曖昧にする。続く「HONDA spal」では、公園のフィールドレコーディングと神経を逆撫でするようなシンセサイザー中心の構成から換骨奪胎しリズムの形が曖昧になり、別次元の世界へと誘う。

「lindcy(a priciest)」というタイトルは、音楽を理論的に学ばなかった者ーアートリンゼイと秋里りんせいが交錯する瞬間——完全な調和と不完全な音の共存——を象徴している。Kinsey自身が語ったように、「このアルバムはうるさいけど静かな空間を支配するためのあたらしいアンビエントミュージック。説明できない感情を音で包み込む試みなんだ」と語っている。
特に,7分を超える「Lockdawn」はその核心を表している。低くうなるベースと、まるで星屑のように散らばる高音が、聴く者の心に静かな波紋を広げる。
彼のアンビエントは、ただの背景音楽ではない。それは思索のための空間であり、記憶の断片を呼び覚ます触媒だ。最終曲「ff coda#2」でアルバム曲唯一のアナログ演奏で収録され、音は徐々に消え去り、まるで夜明け前の静寂に還るかのように終わる。再生ボタンを離した後も、その余韻は長く残り続ける。
「lindcy(a priciest)」は、聞くたびに新しい層が現れる作品だ。Kinseyは我々にこう問いかける——あなたにとっての静寂とは何か?そして
その答えは、きっとこのアルバムのどこかに隠れている。