

「鬼は外、福は内」
家中に落花生がばら撒かれる
居間も仏の間も
婆さんの部屋も母の部屋も
一緒に遊園地に出かけたり
外食した記憶はほとんどない父だが
季節毎の行事は律儀に行ってたのを覚えてる
クリスマスには
酒を自分で用意して小芝居し
私と妹のサンタの空想を壊さないようにして
節分には
落花生を二袋買ってきて
妹と一緒に家中に声を響かせて
ばら撒いた
冬には雪だるまを作り
石を目と鼻にして
小枝を口にして
溶けるまで家の外に置いてあった
もう誰もそんなことをする人がいなくなった
実家の庭は
物寂しくただ雪を積もらせている
流石に月見はしなかったが
秋の夜に網戸から吹く涼しい風を浴びて
「ようやく夏が終わる」と
呟く父を覚えてる
三船敏郎が叫ぶ
無法松の一幕を見て
ふとそんな事を思い出した
29歳の春の夜
・・・そして4年後、この詩を読んで私は考える。
人間がいるから鬼があり、鬼がいるから人間がいる。
おじいちゃんも死んだ。
ひい婆さんも死んだ。
婆さんも死んだ。
妹も嫁に行った。
両親も良い年だ。
そして私は東京だ。
遅かれ早かれ誰もいなくなる家で、鬼という存在が消えるのだろう。
縁側の足踏み台の下に一つくらい落花生が残ってて、真っ黒になって腐ってたら面白い。
- 作詞者
鈴木 諭
- 作曲者
鈴木 諭
- マスタリングエンジニア
鈴木 諭
- ギター
鈴木 諭
- ボーカル
鈴木 諭

鈴木 諭 の“落花生 (LIVE 2024.03.08 無力無善寺)”を
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アーティスト情報
鈴木 諭
地獄の詩世界と秋田弁ブルースを唄う、裏日本シンガー。じゅんさい王国(旧・山本町)出身。2023年頭より弾き語りを本格始動し、代表曲に『犬の川』『アトピーのうた』 『亀のいる木橋』などがある。「東北の情念的な系列」と評される文学的かつ厭世的な歌は、各所で高い評価を得ている。またもう一つの持ち味である秋田弁ブルースも「何を言ってるか全く分からないけど面白い」等の声を集め、人気を博している。精神疾患の再発を機に、療養を経て2026年より拠点を秋田に移し活動再開した。
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