歌詞

これはEPではない。一夜の物語だ。
ヘッドフォンを装着した瞬間、あなたは物語の主人公となる。
夜の始まりから終わりまでを旅する、三部構成のサウンドトラック。そこにあるのは、温かい慰め、痛切な孤独、そして答えのないまま漂う夢。
このEPの真価は、必ず、この曲順で聴いた時にこそ明らかになる。
1. Cradle My Soul
物語は、温かいレコードノイズと優しいピアノの音色から始まる。「すべてうまくいくよ」と、誰かがささやきかける。これは、関係性の始まりにあった穏やかな約束、あるいはそうありたかったと願う、儚くも美しい記憶。魂が優しく抱きしめられるような、この安らぎの場所から、私たちの夜は始まる。
2. You're a vision to me
しかし、その温もりは突如として冷たい深淵へと変わる。サウンドは広大で重くなり、愛する人はもはや慰めではなく、手の届かない「幻影（Vision）」となる。「私に気づいて」という心の叫びは、重いビートと壮大なシンセサイザーの波にかき消されそうになる。ここは物語の核心。EPの中で最も痛みを伴い、最も美しい絶望が描かれるクライマックスだ。
3. Drawing Near
絶望の底から、物語は再び夢の中へと浮上する。しかし、そこはもう最初の温かい場所ではない。痛みを知った後の、静かで不確かな浮遊状態。ここは答えのない問いが漂う、夢と現実の境界線。「Drawing Near」—近づいてくるのは、「私は先に進むべきか」という決断の時か、それとも容赦ない夜明けか。物語は明確な答えを与えず、強烈な余韻とともに終わりを告げる。
この3曲は、慰め、渇望、そして浮遊という感情の弧を描き出す。
ただ聴くのではない。ぜひ、体験してほしい。
これはあなたのための、一夜の物語。