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『やまとうた』楽曲説明文
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「やまとうた」は、現代を生きる私たちが忘れかけている根源的な祈りの感覚を、音楽という形で呼び覚ましたいという想いから生まれた曲です。
この歌には「踊り」「祈り」「命への感謝」「自然との共生」といった、古くから日本人が大切にしてきた精神性を込めています。タイトルの「やまと」は、単に地名や時代を指す言葉ではなく、私にとっては日本列島に生きる人々が育んできた“和をもって貴しとなす”心、自然との調和を願う祈りの精神そのものを象徴しています。
私たちの先祖は、山や川、田畑、海、風、火、すべてのものに神が宿ると考え、その命をいただくたびに感謝と畏れを抱いてきました。農耕の祭りや神楽、夜を徹しての太鼓と踊りは、人と自然、そして人と人のつながりを確認し、命の循環を祝福するための大切な営みでした。
「やまとうた」は、そうした日本の祭り歌や祝詞、神楽のリズム感にインスパイアされつつ、現代のサウンドデザインや言葉遣いを取り入れて構築しています。伝統を模倣するのではなく、今この時代を生きる自分たちの声で祈りを捧げたい。そんな想いで、ビート、メロディ、歌詞の一つひとつを紡ぎました。
歌詞では、「踊り踊れや」「祈り祈れや」という繰り返しのフレーズを通じて、聴き手に対して「さあ、一緒に踊ろう、祈ろう」と呼びかけています。踊りとは、理屈や言葉を超えて魂を震わせる行為であり、祈りとは、命のつながりを意識し、その先へ響かせる行為です。踊りと祈りは、私にとって同じ根から生まれる営みです。
また、「常世に届け」「あめつちに」という言葉は、私たちが生きるこの現世だけで完結するのではなく、過去から未来へ、目に見えぬ存在たちへ、命の営みを響かせる感覚を大切にしたいという願いを込めています。個人のための歌ではなく、あまねくすべての命と分かち合うための歌であることを意識しました。
現代社会では、私たちは効率性や生産性、個人の自由を尊重するあまり、他者や自然とのつながりを見失いがちです。便利さの裏で切り捨てられてきたもの、見ないふりをしてきたもの、それらに目を向け、もう一度命のあり方を問い直すための「祭り」を開きたい。それが「やまとうた」を作る動機でした。
サウンド面でも、打楽器のように身体を揺さぶるリズム、古の詠唱を思わせる旋律、そして現代的なビートの融合を試みています。日本的な音階や響きを意識しつつ、特定の伝統音楽の再現ではなく、自分たちが今感じる「大和」のイメージを自由に表現することを大事にしました。
この曲は、お祭りや集いの場でこそ真価を発揮する歌だと思っています。歌い手と聴き手の境界を超えて、共に声を上げ、手を叩き、足を踏み鳴らし、笑い、涙を流す。そんな場を生む力を、音楽にはまだまだ秘めていると信じています。
「やまとうた」は、その最初の一歩として、自分の内側の祈りを形にし、そしてそれを聴いた人が自分自身の祈りを思い出すきっかけになることを願っています。古代から続く祭りのうたが、遠く未来へと響き渡っていくように、私たちの声や思いも、世界のどこかで誰かの心を震わせ、また別の祈りを生む。そんな「命のリレー」をつなぐ歌になれば幸いです。
韓国人の父とフィリピン人の母を持ち ビートメイカー、ラッパー、シンガー等 マルチに才能を発揮している。 ブラックミュージックに大きなリスペクトを持ち reggae、hip-hop、R&Bなど多岐に渡るジャンルにおいて現在活躍している。
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