grApeのジャケット写真

歌詞

千年の旅人

yato

愛を繋げば、幾千の痕

暮れし陽も向かったとて影縫う

夢の中で見た藍の空

舞い散る花の先を知り

遥か遠点を仰げよ

千年前のご先祖様、ワタシがいるってことは生きてたんでしょう?

千年後にだって、月は変わらずにございますよ

ご安心ください

いつの世だって盛者は必衰

祇園精舎の鐘が鳴り

目眩しに川の流れの句でも詠んで差し上げよう

千年前だったとしても、眠れない夜があったのでしょうか

でも今より月がよく見えたはず

果てしない星を携えて

愛を紡げば、散りえんのだと、

不可思議たる世の常でさえも

去るはおよそ幽玄の舞、霹靂に備えよ

足りえぬならば、それしきのこと

月の光をば、いとあやしく

終わりはされどあっけない

花に舞い戻る術を知り、鳥は葉隠れ時

儚いものは美しい、去らねばならぬときに去ることよ

そこに恐ろしさも帯同し、表裏一体の体を成す

あるいは、未来を案じようか

千年後にも月はあるのだろうか

その月を観る者がいなくならなければ良いけれど

キミの詩(うた)、まるで真水みたい

そのままじゃ、飲めそうにもない

千年後の今だって原因不明

愛を繋げば、幾千の痕

暮れし陽も向かったとて影縫う

夢の中で見た藍の空

舞い散る花の先を知り

遥か遠点を仰げよ

  • 作詞者

    yato

  • 作曲者

    yato

  • プロデューサー

    yato

  • キーボード

    yato

  • シンセサイザー

    yato

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ジャンルを横断しながらも、一貫した世界観を内包する5編の音楽作品。
『grApe』は、yatoによる多面的な音楽性と、日常と幻想の境界線を曖昧にする物語性が交差する一作である。

冒頭を飾る「いつか竜になる」は、ロックサウンドを基軸に据え、抑えきれない衝動と内なる変化を荒々しくも繊細に描き出す。

続く「めまい」は、ポップスの文脈に沿った親しみやすい旋律を持ちつつ、不安定な感情の揺らぎを巧みに音像化している。

3曲目「千年の旅人」では、和楽器的な要素とEDMのビートを融合させ、過去と未来、現実と夢想を往還するような音の旅路が展開される。

「霧の中の魔法」は、ドラムンベースが基盤となる高速サウンドでありながら、霧のような曖昧さと幻想性を内包した、緊張と浮遊の均衡が支配する一曲である。

終曲「夢幻街道の夜」は、静謐で情感に満ちたバラード。終わりゆく夜と、戻れない過去への眼差しが静かに描かれている。

『grApe』とは、甘さと酸味が混在する果実のように、多様な感情の断片が凝縮された音の集合体である。

聴き手の心に残るのは、どの粒か。答えは、耳を傾けた者に委ねられている。

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