

むねの深さで
細い糸の音がした
息の前に
かすかに触れるなにかがある
ひとつ吸うたび
胸が裏返って
息の折りが
少しずつずれていく
息を吸うたび
おれの息が遅れる
息を吐くたび
影だけが先に沈む
心臓の音が
耳の外へずれ落ちて
息の奥の細い糸を
誰かがなぞる
息の緒を
誰かがそっと引いている
おれの胸なのに
おれのリズムじゃ動かない
刻まれる
知らない命の動き
細いその一筋で
おれは静かに書き換えられる
吸いこむたびに
おれの声が遠く落ちていく
吐くたびに
喉の中が知らないひびで満ちる
声の重みが
軽く軽くほどけて
胸の下で
息の音がよそものになる
胸の細いその光で
おれの命がなぞられて
息の奥の
刻みが別のものに変わる
ひとつ吸うたび
身体の中の並びがずれて
おれの形が
静かに上書きされていく
息の緒が
光の中でかすれていく
おれの胸から
確かさが落ちていく
そのかすかな
ひとすじの揺れだけが
まだここに残って
おれを押さえている
息の緒が
おれとずれたリズムで動く
胸の光が
見えない声に変えられる
その一筋を
誰かが指でなぞって
おれの鼓動が
違うものへ引きずられる
息の緒が
静かにおれを離れていく
胸の光も
声の残りも
すべてほどける
そのたった一筋を
誰かが操っている
これでいい
そのささやきで
おれは落ちていく
- 作詞者
なると金時
- 作曲者
なると金時
- プロデューサー
なると金時
- プログラミング
なると金時

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息の緒
なると金時
静かに命をつないでいた “息の緒” が、
誰かの指先に触れられ、ひかれ、書き換えられていく瞬間を描いたダークメタル。
呼吸がずれていく恐怖、胸の奥のひとすじが他者のリズムに染まっていく感覚、
そして最後に残る「これでいい」という落下のささやき
アーティスト情報
なると金時
なると金時 青春パンクの衝動とLo-fiサウンドの静かな熱を融合。 “ふざけながら本気で生きる”をテーマに、日常の怒りや寂しさ、そして笑いを、ノイズと余白で描き出す。
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