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Salvaged Tapes2019年のテーマは「Juvenile」。
夢中でそれを追いかけていくとき、悪意なく何かを犠牲にしてしまうような残酷さを、R N S Tに表現していただきました。
息せき駆けてゆくように強く鼓動するビート。
飛ぶようにすぎる景色のように目まぐるしく変化してゆく展開。野外フェスへの出演や広告音楽の制作など、
多様な表現方法を模索してきた彼らが表現するJuvenileは、
赴くまま、本能のままに突き進んでゆく少年のような力強さを持って、
私たちを音の世界へ巻き込んでいきます。過去にEPとアルバム2作をセルフタイトルアルバムとしてリリースしてきたR N S T。
3枚目のアルバムとなる今作では、テーマに沿った制作を行うことでその制作方法は大きく異なったといいます。
過去の彼らの作品では、ジャムセッションでお互いの音を聴きながら制作するスタイルが主流でしたが、今回はそれぞれが思う音、出したい音をプリプロとしてデータで送り合うというアプローチで作成されました。それは、Juvenileというコンセプトを本人たちが解釈し、かつて好きだった音楽や、各々のルーツに向き合うために、陽(ボーカル、プログラミング担当)が提案したことでした。
陽は、「我々だからできると思いました。他のバンドがやってもうまくいかないだろうし、きっと破綻する。」と、メンバーへの信頼があるからこそ試みた経緯を話します。
最初に制作したというM1 『Occur』で初めてこの方法を用いて制作したそうですが、同曲の制作を通して、メンバー全員が同じ方向を向けていることを確信し、その他の曲も同じ方法で制作することに決めたそうです。
Sanson(ベース担当)は、「自分のルーツとなる音楽をすべて聞き直して制作に臨みました。後で加工しやすいようになるべくエフェクトを多様せずフラットな状態で録音しておくことが多かった過去の作品の制作過程とは異なり、音作りを積極的にエフェクターボード上で行いました。そうすることで、曲の中で自身の音の居場所をより深く考えるようになった。」と振り返っています。
また、宇宙(ギター担当)は、「純粋な音作りへの探求にチャレンジできました。シンセのような音色を多用していますが、フレージングやダイナミクスはしっかりとギターを感じられるように制作しました。」と語ります。
3人がそれぞれに目指す音を出し合った今作。それでも1つ作品として表現できるのは、バンドとして共通の世界観を持っているというのはもちろん、彼らの持つ好奇心や探究心、音作りへの力強さ、少年のような心そのものが、ずっと失われることなく、内に輝いているからかもしれません。
マスタリングを手がけた、ROVOやスーパーカーのプロデュースでも活躍する益子樹氏もまた同じく、今作のテーマにブレのないアプローチを掲げています。
音楽フェスへの出演や映画、広告音楽の制作など、多彩な活動を続けるR N S T。
彼らの表現するJuvenileを感じられる1枚となっています。

アーティスト情報

  • R N S T

    陽(Vo & Prog)・宇宙(Gt)・Sanson(Ba) による3人組のバンド。アンビエント、ポストロック、エレクトロニカなどをルーツに、2枚のアルバムとデジタル配信EPを発表。様々なジャンルを吸収し、独自の音楽性を追求してきた。   音響的で優美なサウンドスケープから変拍子、ミニマルなアプローチ、ディレイで緻密に計算されたフレーズや、エモーショナルで過激なエフェクトなど多種多様な表現方法が特徴。歌、インスト、長編作品などの多面的な楽曲が存在する。   ライブでは、3人という小編成ながら、ギター、ベース、リズムマシンやサンプラー、ボコーダー等のハードウェアを駆使し、音源の再現に捉われず、リアレンジや即興など枠にはまらないパフォーマンスを行う。

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Salvaged Tapes