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カレーの曲しか歌わないジェンダーレスエイジレスアーティスト・ かりぃーぷぁくぷぁくの2ndシングル。90年代渋谷系の雰囲気を色濃く踏襲しつつ「渋谷は夜の8時 どこもあいてない」という緊急事態宣言下の令和の渋谷のディストピア感を描く。スウィンギンなビートとスキャットはフリッパーズギターへの、歌詞やビジュアルはピチカート・ファイヴへのオマージュ。こんなにも渋谷系を意識するのは、その背後に90年代渋谷系ムーブメントと現代のスパイスカレーブームの広がりが似ているから、というメッセージが隠されている。日本に南インドカレーのジャンルを根付かせたエリックサウス総料理長イナダシュンスケ氏はラーメンとカレーを対比させ、次のように語る。「ラーメンにおいてはいわゆる中華そば的な醤油ラーメン、つまり日本人がまずイメージするラーメンらしいラーメンがその中心部分に確固たる地位を今だに築いているのに対し、スパイスカレーは日本のカレーの中心にあるドロっとしたルーのお家カレーや欧風カレー、あるいはらっきょうや福神漬けといった古典的アイテムからなるべく離れようという遠心力も同時に備えている点は大きく違う(出典:カレーZINE vol.2『カレーの境界線』)」あくまで国内志向のこれまでの日本の歌謡曲をラーメンだとすると、内側よりも外側に目を向けた、すなわち洋楽志向である渋谷系は、南インドやベンガル料理をルーツとすることを名乗りたがる最近のカレーに酷似している。昭和のねっとり感からできるだけ離れシャバシャバな口当たりを目指すところも似ているし、かつてはレコード屋を巡っていた熱気を帯びた音楽ファンの動きは現代のカレーマニアの動きに還元される。これらの背景を踏まえ、「カレー≒渋谷系」であることを伝えたいとの願いがこの曲には込められている。

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