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嫌な気分だ。じれったい。不甲斐ない。面目ない。
あちら側の世界とこちら側の世界の境界線上、おれはあちら側に片足を踏み入れ、あちら側の金をかすめ取り、いや違う、施しを受けながら生きている。
憤りは静かに重たくずっとある。
バビロンシステムへの嫌悪感。
保身に走る自身への嫌悪感。
無意識下に沈澱してヘドロ化している。
そのことに、この曲を作った後でおれは気づいた。
抜け出すか、振り切るか、このまま安住するか。どうしたいかはわかっているが、どうするかはわからない。
とにかくこの曲は、ボーダーである蜂須賀氏に捧ぐ。
彼は新たな秩序の先導者だ。
異変が起きたのはあの夜からだ。六本木でカニエそっくりの男とすれ違ったあの夜からだ。 おれの脳は一体どうなってしまったんだろう? 前触れもなく猫アレルギーになった時と同様、突然メロディーが降ってくる体になってしまった。 通勤途中の駅のホーム。脳から湧きでてくるメロディー。 慌てるおれ。取りだすスマホ。ボイスメモ起動。 鼻歌を歌いながら得意先へ電話をするカジュアルな男と見せかけて、メロディーをこそこそ録音する毎日だ。ホームを歩くJKの視線が痛くてしょうがない。 それでも再生ボタンを押せば、些細な羞恥心なんて吹きとぶ。 おれは体を震わせながら、いつだってこう思う。 「神曲だ」と。 正直、おれが何をしたいのか自分でもよくわかっていない。ただこれだけは確かだ。 今日からおれはミスターモリック。ロッカーだ。
Factotum Records