白と黒の連続体のジャケット写真

歌詞

八月は水の底

Lyric Loom Hanora

氷が

ひとつ鳴る

知らない部屋の

ガラスの底で

窓は閉じている

カーテンだけが膨らむ

風鈴はない

なのに ガラスの音ひとつ

濡れたあしで

誰かが廊下を走る

草を裂く

白いシャツ

露をはじく

小さな靴

あの子の跡を

ひとつずつたどる

蜘蛛の糸

青い羽

湿った土

こすれた膝

「はやく」

緑の奥で声がする

道はもうない

それでも先へ行く

八月は

水の底

ガラスのフチに

しずくが残る

帰ろう、と

誰かが呼ぶ

返事だけが

まだ浮かばない

石から石へ

影が跳ねる

水切る膝

眩む岸

裾をまくり

爪先を入れる

冷たさだけが

先に身体を渡る

滑る石

傾く空

掴まれた指

はじける飛沫

ほんの一秒

その熱だけが残る

あの子は向こう岸

わたしは渡れないまま

八月は

水の底

氷は溶けて

川音に混じる

帰ろう、と

誰かが呼ぶ

声の向こうで

まだ日が暮れない

帰りの坂

錆びた鎖

空の籠が

かたかた鳴る

前を走る

小さな背中

遅れる影

乱れる息

首すじの汗を

夕日がなぞる

右 左

右 左

逆光の中

顔だけ見えない

「もう少し」

声が坂を転がる

八月は

水の底

水の底に

光が揺れる

帰ろう、と

誰かが呼ぶ

呼ばれた名前が

夕凪に消える

八月は

水の底 水の底

あの夏は

水の底 水の底

  • 作詞者

    Lyric Loom Hanora

  • 作曲者

    Lyric Loom Hanora

  • プロデューサー

    Lyric Loom Hanora

  • グラフィックデザイン

    Lyric Loom Hanora

  • ボーカル

    Lyric Loom Hanora

  • プログラミング

    Lyric Loom Hanora

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