春を待つ

空を見上げたり、木々の葉を見上げたりするとき、私たちはときどき、こうした空や木々は、私たちの子供時代と同じように私たちの目に映っているのだろうか？と疑問を抱くことがあります。
もちろん、空の色は刻々と変わり、季節が経つにつれて木々の色も変わっていきます。子供の頃と同じ色を保つことは物理的にはできません。
しかし、ときどき、こう自分自身に問いかけることがあるのではないでしょうか：たとえ空や木々が物理的に同じ色を保っていたとしても、私たちが子供時代に認識したのと同じ色を、私たちはそれらの空や木々から認識するだろうか？と。
DiceKEY Akhanev DUOの2作目のEP「春を待つ」は、私たちが子供時代に見たものと、今、大人になって見ているものとの関係性を探求した作品です。
日本の寒村の少年が憧れた雪解けや春の芽吹きの兆しから、綿あめの香りが満ちあふれるジョージアの小さなコミュニティのタウンフェア、そして大人になって彼が旅をすることになるグランドキャニオンの壮大な景色へと、場面を映していく6つの楽曲が、私たちが世界を見通す「フィルター」の、絶えず変わっていくが完全に入れ替わることはないスペクトラムを描き出します。