ソロモン王72柱の悪魔のジャケット写真

歌詞

預言された王冠

Story Sound-notes

まだ小さすぎる額に

王冠の影だけが落ちる

重さだけが先に来て

意味はあとから追いついてくる

宮廷の片隅 少年は静かに座る

「賢王になる」と誰もが言う

神に選ばれた器だと

見ないうちから 中身を決められていく

超早口で頭の中 予言の文句をなぞる

「人と精霊の両方を裁く王」

人の言葉と 影の言葉

どちらも理解できてしまう耳を

祝福だと呼ぶのか 呪いだと呼ぶのか

額に触れた金属の冷たさが

未来の温度を先取りする

まだ何も決めていないのに

もう決まっている道の輪郭

オルガンが低く 宮の石壁を振動させる

ヴァイオリンが 細い光で幼さをなぞる

合唱が遠くから

「賢き王」を讃えるのを

少年はどこか別の話のように聞いている

預言された王冠が

まだ柔らかい髪の上に置かれる

歓声と祈りのあいだで

ひとりだけ沈黙している声がある

それは少年自身の心音

人も精霊も悪魔も

いつか同じ手で裁くことになると

知恵より先に告げられた運命に

小さな指が震えていた

ピアノが階段の段数を数えるように鳴る

王座へと続くその登り道は

栄光という名の急斜面

転べば全部巻き込んで落ちていく

超早口で大人たちが言葉を投げる

「神はお前に知恵を与える」

「だから間違えない」「だから迷わない」

そんなことを決められたら

人ではなくなると少年は思った

知恵を持つことより

迷えることのほうが

よほど人間らしいと

誰かが教えてくれることはなかった

笛が高く まだ見ぬ未来の輪郭を描く

ストリングスが 王冠の円をなぞる

円の内側に入ってしまえば

外には戻れないと

金属の輝きが静かに告げていた

預言された王冠は

まだ名前を持たない恐れで満ちている

人と影の境目に座る王として

どちらの言葉にも耳を貸すなら

いつか全員を裏切ることになる

その予感だけが やけに鮮明だった

祝福と呪いの区別が

もうこの時点で曖昧になり始めている

合唱が賛歌を歌い上げる

少年の視線は王冠の縁を見つめたまま

その金の輪の内側に

細く黒い影が一本

すでに絡みついていたことに

誰も気づいていなかった

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