

王冠の次に授けられたのは
小さな、しかし重すぎる指輪だった
内側に刻まれた文字は
祝福の言葉ではない
ピアノが低く 金属の冷たさを弾く
ヴァイオリンが 細い線で刻印をなぞる
指輪の内側 見えない場所に
七十二の名と印が埋め込まれている
超早口で刻まれた文字を心の中で読む
「第一の影」「第二の牙」「第三の声」…
具体的な姿も知らないまま
名前だけが先に 王の肉に触れる
この指輪は封印の鍵
同時に契約の署名欄
はめた瞬間から 指は王のものではなく
七十二の影の持ち物でもある
オルガンが長く息を吐く
合唱が言葉にならない音で
名を呼ぶ練習を始める
呼べば応える
応えれば世界は 少しずつ歪む
指輪に刻まれた七十二の名が
皮膚を通して脈を打つ
王の血流に乗って
一柱ずつ覚醒の準備を進める
呼び出す権利と 従わせる権能
そのどちらも
本来は人間の手には余る
それでも指輪は王の指にある
ピアノが刻むのは
一秒ごとに変わる決断の重さ
ヴァイオリンが震えるのは
まだ呼んだことのない影たちへの予感
超早口で自分に問いを重ねる
「本当に必要か」「これしか道はないか」
賢王と呼ばれるほど
選択肢は増える
増えた選択肢の中には
誰も触れたくないカードも混じっている
指輪を外せば静かになる
しかしそれは王であることを
半分手放すことでもある
外せば楽に 嵌めれば正しく
そのどちらも正解で どちらも罰
低い笛が 指に絡んだ影の輪郭をなぞる
合唱が七十二の和音で
まだ聞こえない声たちを仄めかす
沈黙は約束だ
いつか破られるための
指輪に刻まれた七十二の名を
王はまだ声に出さない
出さないまま 指を握りしめる
「このまま永遠に沈黙させられたなら」と
一瞬だけ願う自分を笑い飛ばして
それでも王座に座り続ける
冠と指輪 上と下
二つの円が 一人の人間を挟み込む
オルガンが消え入りそうな和音を残し
ピアノが最後に一音だけ
金属の光を鳴らす
指輪の内側で
七十二の名が
まだ目覚めていないふりをして
じっと息を潜めている
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Dark and slightly mysterious, yet soothing to the ear. Weaving in just a touch of lo-fi, hip-hop, and jazz, we deliver sounds to accompany your reading, studying, work, or breaks. Songs born from scenes like fairy tales, travelers, witches, old books, and misty forests... along with playlists tracing these stories, are now available.
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