King Solomon's 72 Demons Front Cover

Lyric

Wisdom as a Rift

Story Sound-notes

「賢い」と呼ばれるたび

何かが少しずつ割れていく

それが何なのかに気づくのは

だいぶ後になってからだ

ピアノが左右に

ゆっくりと別れていく和音を弾く

ヴァイオリンが

真ん中の空白をなぞる旋律になる

そこに出来上がるのは

目に見えない裂け目

超早口で世界を分類していく

善と悪 正義と不正

信仰と取引 人間と影

線を引くことが知恵だと

誰もが教えてくれた

だが線を増やすほど

どちらにも完全には

立てない場所が増えていく

ソロモン自身が

その裂け目に落ちていく

オルガンが深く 両側の世界を鳴らす

合唱が二群に分かれ

祈りと呪いを同時に歌う

その真ん中で立ち尽くす王の姿を

誰かが俯瞰している

裂け目としての知恵を持った王は

どの側にも完全には属せない

人々は「賢明な裁き」と讃え

影たちは「抜け目ない取引」と笑う

神は沈黙し 王だけが

その沈黙の意味を解釈し続ける

知恵は光ではなく

世界をきれいに割りすぎる刃だった

ピアノが細かく

揺れる迷いを刻む

ヴァイオリンが上と下を

梯子のように行き来するフレーズを弾く

超早口で自分の判断を辿り直す

「この時は民の味方をした」

「この時は影の嘆願を聞き入れた」

それぞれに理由はある

しかし結果だけ見れば

どちらにも裏切りと映る

妥協点は しばしば誰にも喜ばれない

それでも世界は

極端よりも長く持つ

その現実が

王の胸を軽くすることはなかった

笛が裂け目の縁をなぞる

合唱がその両側から

「こちらへ」と手招きする

どちらに寄っても

神話は書きやすい

真ん中に立ち続ける者の物語は

絵になりにくい

裂け目としての知恵を引き受けた王は

英雄譚にも悪役譚にも完全には収まらない

賢者と呼ばれるほど

孤独な席が増えていく

それでも線を引くことをやめないのは

誰かが境界を見張っていないと

世界はすぐに混ざり合い

破綻するかもしれないから

オルガンが音を細くしていく

ピアノの左右の和音が

最後に一瞬だけ重なり

また離れる

その真ん中に

名前のつかない点が残る

そこに王は立ち続ける

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