

夢を見ていた様だ
スタンウェイは 憂鬱だった
窓の外鳴いているヒバリの声を聴いた
肌寒いこの部屋に白々と朝が来て
スタンウェイはベッドを出てリビングに向った
トーストの焼ける匂いがして 食器の並ぶ音がして
マリアの微笑みの気配がして
理由の無い彼の悲しみは
静かに仄かに消え去っていくのを感じた
「おはようスタンウェイ。今朝の気分はいかがかしら?」
マリアは言う
「ありがとう。大丈夫さ 君がここにいるから。」
もしも僕が幾らか、まともになったら
君の為にきっとトーストを焼きたいな
トーストがこんがり焼きあがって
食器が整然と並んで
マリアの微笑みは豊かに輝いて
理由のない彼の悲しみは
静かに仄かに
消え去っていった
- 作詞者
中山将
- 作曲者
中山将
- レコーディングエンジニア
小笠原達
- ミキシングエンジニア
小笠原達
- ギター
中山将
- ベースギター
柴田淳
- ドラム
尾田遼平
- キーボード
高本りな
- シンセサイザー
高本りな
- ボーカル
中山将
- ピアノ
高本りな

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- ⚫︎
スタンウェイの朝食
中山将
- 2
海の恋文
中山将
- 3
花火師の恋
中山将
- 4
小さいおっさんの国
中山将
- 5
僕のおじいちゃんは公園に住んでいる
中山将
- 6
冬
中山将
- 7
蒼い背中のドリー
中山将
- 8
シルヴィアカフェ
中山将
- 9
メアリー
中山将
- 10
あなたの為に詩を綴っている
中山将
- 11
図書館
中山将
- 12
桜は希望
中山将
- 13
少年
中山将
16才から曲を書き続けてきた中で大切にしているファクター「物語」「色彩」「詩情」「風景」
そんな中、ワンマンライブをする際に「短編唱」というアイデアが浮かびました。
遠藤周作、村上春樹、三島由紀夫、素晴らしい短編集のように、私の楽曲も「短編集」にできたら。いや、これは音楽だから「短編唱」だと考えたのです。そんなシンプルな発想から、このアルバムに記録されたワンマンライブ「短編唱『少年』」を企画し、作り上げました。
それぞれの楽曲が持つ「物語性」「色味」「詩情」「風景」を、音楽を通して表現する。そのために、ピアノ、バイオリン、ドラム、ベース、ギターという、信頼できる仲間たちを集めました。
音作りにおいて、私が各ミュージシャンに伝えたのは、「朝の憂鬱を抱える少年のように憂いを帯びたピアノ」「カーニバルではしゃぐ小さなおっさんのように躍動感のあるドラム」といった、非常に抽象的なイメージでした。しかし、今回協力してくれた仲間たちは、私の言葉の奥にある「音」を探し出してくれました。そんな仲間と一緒に音を、風景を、物語を作り上げるのは、本当に楽しい時間でした。
また、各楽曲の前に朗読するプロローグとなる詩。ポエトリーリーディングにも、深くこだわりました。自分の内から湧き上がる世界に対して、飾り気なく、正直な言葉で書き、声に出して伝えました。
西新宿にあるSACTというライブハウスで、「短編唱『少年』」は幕を開けました。そこで表現した世界が、聴いてくれた人の心の片隅に残り、現実を見つめる契機、または現実から逃れる場所になってくれたら。そんな思いで表現しました。
このアルバムは、そのライブで演奏した多くの物語の中から、特に心に残った13編を記録したものです。あるいは、このアルバム自体が「短編唱『少年』」という一つの大きな物語とも言えるかもしれません。
ぜひ目を閉じて聴いてみてください。小説のページをめくるように、一曲一曲に想像を委ねてみてください。
様々な世界を旅するような気持ちになってもらえると思います。
アーティスト情報
中山将
1988年岐阜県岐阜市生まれ、ピアノの講師をしていた母と、フォークソング好きの父を親に持ち、音楽と共に育つ。高校からアコースティックギターでの弾き語りと作詞作曲を本格的に始める。 大学では日本文学を学び「詩」へ精通していく。 現在は妻、息子二人と暮らしながら。じっくりと演奏活動を実施している。 1stアルバム「鈍行列車の窓から僕らはハレー彗星を見た」 、2nd「生きる風景」(広沢タダシプロデュース)、3rd「TINYRECORD」と3枚のアルバムをリリース。 柔らかな歌声、メロディメイカーとしての妙技、シニカルなアコースティックギターの音色、繊細なポエトリーリーディング。「詩」へのこだわりを持った音楽表現。 唯一無二のジャパニーズシンガーソングライター。
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