

とある蒸し暑い夏彼は一つ決心をした あの娘のために存在する決心を
あの娘はまるで夜の様に不意に現れて そして静寂の様に彼の心を奪った
だけど彼女は知らない街へ行く
彼の知らない街へ行っちゃう
最後の夏に僕は あなただけのために
儚くて永久の花をあげよう
あなたが思う以上に 僕はあなたのことを
毎日毎日想っていたんだ
青年はリュックを背負い自転車をこいだ
プラットホームに程近い河川敷へ急ぐ
何一つ語ることなく彼は作業を進めた
「時間よ止まれ」って本気で思った
青年はほんの少しだけ水を飲み
導火線にそっと火をともした
古びたプラットホームに訪れる列車が
あの娘を連れ去ってしまう前に
僕がたった一つ伝えたかったことは
二人が見ているのはいつも同じ空
艶やかな畦道も、優しい木陰も
ガラガラの駄菓子屋も、気の抜けたサイダーも
路地裏の秘密基地も、無口な校舎も
淑やかな浴衣も、なけなしの恋も
どれだけ「そばにいたい。」と願ってみても
そばにもいられないことだってあるんだ
「大人になれよ」って言われたって
男にはそうはいかない瞬間があるんだ
生涯を捧げてもかまわないほどの 声無き叫びと打ち上げ花火
月より 蛍より どんな映画より
あなたの胸の中で永久に輝いて欲しい
とある蒸し暑い夏、花火師の青年は世界が霞むほどの恋をしていた
- 作詞者
中山将
- 作曲者
中山将
- レコーディングエンジニア
小笠原達
- ミキシングエンジニア
小笠原達
- ギター
航, 中山将
- ベースギター
柴田淳
- ドラム
尾田遼平
- ボーカル
中山将
- ピアノ
高本りな
- バイオリン
橋本安以

中山将 の“花火師の恋”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
スタンウェイの朝食
中山将
- 2
海の恋文
中山将
- ⚫︎
花火師の恋
中山将
- 4
小さいおっさんの国
中山将
- 5
僕のおじいちゃんは公園に住んでいる
中山将
- 6
冬
中山将
- 7
蒼い背中のドリー
中山将
- 8
シルヴィアカフェ
中山将
- 9
メアリー
中山将
- 10
あなたの為に詩を綴っている
中山将
- 11
図書館
中山将
- 12
桜は希望
中山将
- 13
少年
中山将
16才から曲を書き続けてきた中で大切にしているファクター「物語」「色彩」「詩情」「風景」
そんな中、ワンマンライブをする際に「短編唱」というアイデアが浮かびました。
遠藤周作、村上春樹、三島由紀夫、素晴らしい短編集のように、私の楽曲も「短編集」にできたら。いや、これは音楽だから「短編唱」だと考えたのです。そんなシンプルな発想から、このアルバムに記録されたワンマンライブ「短編唱『少年』」を企画し、作り上げました。
それぞれの楽曲が持つ「物語性」「色味」「詩情」「風景」を、音楽を通して表現する。そのために、ピアノ、バイオリン、ドラム、ベース、ギターという、信頼できる仲間たちを集めました。
音作りにおいて、私が各ミュージシャンに伝えたのは、「朝の憂鬱を抱える少年のように憂いを帯びたピアノ」「カーニバルではしゃぐ小さなおっさんのように躍動感のあるドラム」といった、非常に抽象的なイメージでした。しかし、今回協力してくれた仲間たちは、私の言葉の奥にある「音」を探し出してくれました。そんな仲間と一緒に音を、風景を、物語を作り上げるのは、本当に楽しい時間でした。
また、各楽曲の前に朗読するプロローグとなる詩。ポエトリーリーディングにも、深くこだわりました。自分の内から湧き上がる世界に対して、飾り気なく、正直な言葉で書き、声に出して伝えました。
西新宿にあるSACTというライブハウスで、「短編唱『少年』」は幕を開けました。そこで表現した世界が、聴いてくれた人の心の片隅に残り、現実を見つめる契機、または現実から逃れる場所になってくれたら。そんな思いで表現しました。
このアルバムは、そのライブで演奏した多くの物語の中から、特に心に残った13編を記録したものです。あるいは、このアルバム自体が「短編唱『少年』」という一つの大きな物語とも言えるかもしれません。
ぜひ目を閉じて聴いてみてください。小説のページをめくるように、一曲一曲に想像を委ねてみてください。
様々な世界を旅するような気持ちになってもらえると思います。
アーティスト情報
中山将
1988年岐阜県岐阜市生まれ、ピアノの講師をしていた母と、フォークソング好きの父を親に持ち、音楽と共に育つ。高校からアコースティックギターでの弾き語りと作詞作曲を本格的に始める。 大学では日本文学を学び「詩」へ精通していく。 現在は妻、息子二人と暮らしながら。じっくりと演奏活動を実施している。 1stアルバム「鈍行列車の窓から僕らはハレー彗星を見た」 、2nd「生きる風景」(広沢タダシプロデュース)、3rd「TINYRECORD」と3枚のアルバムをリリース。 柔らかな歌声、メロディメイカーとしての妙技、シニカルなアコースティックギターの音色、繊細なポエトリーリーディング。「詩」へのこだわりを持った音楽表現。 唯一無二のジャパニーズシンガーソングライター。
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