

月のひかりに 紙をひらけば
誰にも言えぬ 声がほどける
やさしい言葉 その袖の奥
見えないままの 涙があった
香の残る夜 重ねた文に
似た願いごと 滲んで消える
笑みのかたちは あまりに淡く
心の深さを 隠してしまう
恋と呼べば きれいでしょう
夢と呼べば 許されるでしょう
けれどまなざしの影だけは
なにも飾れず 揺れていた
うつくしき嘘に だれもがすがる
まことより先に 名をほしがる
恋と呼ぶには かなしすぎても
それでも人は 花のように言う
うつくしき嘘を 抱いたままで
月の下では みなやさしく見える
わたしは知ってる
やさしさだけでは 書けないことを
袖にこぼれた 言の葉ひとつ
祈りのようで 計らいに似る
待つという名の 静かな誇り
泣くという名の 見せない強さ
ほんとうだけで 足りるなら
飾る言葉は いらないでしょう
けれど心は あまりに脆く
美しささえ 借りてしまう
うつくしき嘘に だれもがすがる
触れればこわれる 夢と知りつつ
恋と呼ぶたび 傷は香りに変わる
そんな夜を 見てしまった
うつくしき嘘を 責めはしない
人が弱いと 知っているから
ただ きれいごとでは
この心まで 書けなかっただけ
月は黙って 照らしていた
誰の願いも 裁かぬまま
愛されたくて 選ぶ沈黙
失いたくなくて つくる微笑み
そのすべてを
わたしはことばにしてしまった
うつくしき嘘に だれもがすがる
まことに触れるのが こわい夜ほど
恋と呼ばれて 救われるもの
恋と呼ばれて 隠れる痛み
うつくしき嘘を 書いたのではない
嘘より深く 揺れる心を
花のうらがわで
声になれずに 泣くものを
わたしはただ
見てしまっただけ
月のひかりに 紙を閉じれば
言えないままの 声だけ残る
美しいままで 終われぬものを
人は恋だと 呼ぶのでしょう
- 作詞者
ドラマチカ
- 作曲者
ドラマチカ
- プロデューサー
ドラマチカ
- ボーカル
ドラマチカ

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うつくしき嘘
ドラマチカ
紫式部が見つめたのは、恋そのものではなく、その言葉の奥に隠された人の心だったのかもしれない。
「うつくしき嘘」は、紫式部と平安王朝文学の世界から着想し、恋、沈黙、微笑み、優しさ、そして人が本心を隠すためにまとう“美しい言葉”を描いた楽曲です。
本当のことだけでは、人の心は語りきれない。
傷つかないために、失わないために、時に人は美しさを借りて心を包む。
それは嘘なのか。
それとも、人の弱さを守るために必要なものなのか。
月、文、香、花といった王朝的なモチーフを通して、表面の美しさと、その裏側で声にならず揺れる感情を描きました。
紫式部本人の心理を史実として再現するものではなく、史実や古典文学の世界観に着想を得た創作作品です。
アーティスト情報
ドラマチカ
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