Cassette Gadget 3 1985-1987のジャケット写真

歌詞

かくも長き不在

岩下啓亮 Sardine

からっぽの操縦士

漕ぎだせない航海士

待合室で

ぼくは時計とけんかする

煙草を嚙みしめ

小刻みにかかとでビートを刻む

いつの間に乗ってた?

行方知れず

霧の中につつまれ

切立った崖のうえ

地図にもない道を

転がりつづける

バスの中

朝の新聞受け

窓越しにみえる氷の結露

午後の定期便

鳴りやまぬ不在の電話のベル

いつか見たこの町

行方不明?

そうだ夢に出ていた

ぼくの死亡通知だ

間違いだと訂正する気にも

もう

なれない

つまるところ

ぼくはいない

ここにいない

どこにもない

バスのなかに

閉じこめられ

ぼくはもう

帰ってこない

だろう

15分ごとに

きみのことを思いだしている

揺れる路面から

気味の悪いエンジンの割れる音

「どちらまで行くのですか?」

わからないよ!

年老いた車掌が

ぼくに切符を手渡す

その切符に書かれた行く先は

Nowhere

Nowhere

Nowhere to go

とどのつまり

ぼくはひとり

ここでもなく

どこでもない

会社はなく

家庭もない

ぼくは孤立

して生きてる

たぶんきみは

知らないけど

ぼくはいない

いつの間にか

バスのなかで

揺られつづけ

ぼくはもう

帰る術さえ

もう、ない

  • 作詞者

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲者

    岩下啓亮 Sardine

  • プロデューサー

    岩下啓亮 Sardine

  • レコーディングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • グラフィックデザイン

    岩下啓亮 Sardine

  • シンセサイザー

    岩下啓亮 Sardine

  • ボーカル

    岩下啓亮 Sardine

  • プログラミング

    岩下啓亮 Sardine

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カセットガジェットシリーズ第3弾は、1985年の東京6曲と1987年の熊本5曲の、2時期の音源を収録した。
その間の1986年のアルバムは名盤(だと自分だけ思っている)「Everything/Nothing」に収録している。
1985年は精神的にも技術的にも限界を迎え、1987年は宅録という概念自体に疑問を感じていた時期である。だからこの2年間の作品はあまり好きではないし、まとまりに欠ける作品集ではあるものの、個別に見れば各曲それぞれに魅力がある。最低のときでもイワシの音楽はいつだってポップだ。偏見なく聴いてほしい。
追記。今の私は喫煙者ではない。

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。

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