Lyric

劈く曙光に上の空

綺麗なものだけ蓋をして

埋まるは足跡

霜残り

喜劇と呼ぶには遅すぎたようだ

灯を懐 抱き寄せて

帯すら結べず 臍の青

永きを想うは黄水仙

薄明眩んで

胸の奥

吹き荒ぶ言葉を頬に受け

片耳隠るる

まるで雪化粧

病むことのない陽に照らされ

はらり

あなたの口許

簪で綺麗に縢んであげましょう

肌刺す北風 曝されど

血潮で温めてあげましょう

夕刻干上がる三日月は

半端な蛹で笑えました

赤みを増しゆく傷痕は

それだけ美しく思えました

息づく私は名を捨てて

落ちゆく螢に授けましょう

大地のささくれ

萌芽とは到底呼べぬが

愛すべく、と

止まぬは慟哭

月も逃げ

知る顔かざした曙光が今

私を焦がして燃ゆるかな

きらりと灰舞う

これも雪化粧

憂き世でなお咲く

これも生き化粧