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About 666
2017年8月
この企画はARIKAを含め数名の作家と吉祥寺で呑んだ時に半ば冗談で始まった
666枚描いて来年の6月6日にANAGRAで展覧会をする
バカみたいでシンプルな思いつき
翌日彼から『あれだけ盛り上がったんだから責任取ってくださいよ』とメールが来た
だいたいざっくりと計算して毎日3枚くらいのペースで描いて行けば間に合うと
僕はアーティストの展覧会を企画する時できるだけ彼らに憑依して、お客さんをどう楽しませるかを考える
やるかやらないかはそれやってみたい、見てみたいと思うかどうかが判断の基準
ただでさえ無茶な企画なのに彼のスタイルは全然この企画に向いていない
手数は多いし、コンピューターに頼ることもできない
描いて終わりではなく定着剤で処理もしなければいけないしそもそも完成というのを見極めるのが困難な作品が多い
そんな彼が毎日3枚の作品を仕上げ2018年の6月6日までに666枚の作品を描きあげる
まるで修行のような話だけれど僕は勝手にワクワクしていた
666枚描きあげるまでに一体どんなストーリーが待ち受けているだろう
描くということと生活するということが同意になり日常で得たナニカが新鮮なうちにアウトプットされる
意識が無意識に変わった時彼がどんな絵を描き始めるのか楽しみでしょうがない
僕らは定期的に雑談を交えて色々な経過を報告し合う
昨日も報告を受けた
僕が預かっていた最初に描いた100枚を目の前にしてサイズも内容も現在進行しているものとは全然違うしこの時描けなかったものが描けるようになったという
そういう実感を得ることは実はすごく難しい
反復と工夫が必要だし見直すタイミングも重要だ
『何があっても続ける』僕の尊敬するアーティストが教えてくれた秘密
誰でもわかることだけど本当は一番難しいこと
ARIKAのずっと続けていることの、そしてこれからも続けていくことの途中がANAGRAの壁を隙間なく埋め尽くす
この展覧会は東京で生活する25歳の芸術家のドキュメンタリー
生きていることで作品に全然関係ないことなんてひとっつもないという意思の表明
2018年4月某日某所
細野晃太朗