

黄昏
青ざめ
穏やかなだけの広場に並ぶ
誰の顔
猫背のあなたが
枯葉の下に棲息している
なにかが聞こえる
雪の巨人がくずれて
灯台
あそこまで行ければきっと
ほら
乳母車にはリンゴだけ
気温がさがってこわいから
ゆるされないのに
なにも言わずに色を変え
コバルトガラス
たたきつけ
いばらのエピタフ
王冠をのせ
かすかな痛み
ただそれだけで
時間と空間
あなたのにおいをつける
八重歯はとがる
会うたびに
消灯告げるファンファーレ
これからも
加速していくことでしょう
風葬の庭
空中ブランコ
最後の晩餐
宇宙象 空洞
未完成
靴の底
睡魔がひそむ
蝶むすびの繁殖期に
何度もドアを叩いていた
プリマの烙印
否定したくて
夏の夜に
夢見たオーロラのむこう
象牙の船では
わたれないから
こごえる吐息
寄り添う無数の命
朝焼け
照らした道しるべ
空から落ちてきたように
試験管の中
鮮やかすぎる
疑問の余地はまるでなく
ほんのわずかな香料でも
調合するには
とぎすまされた夕闇を
浄化 冷却 保管して
見捨てられたらその瞬間ひび割れる
か細い腕の静脈は
グラフの座標にはりつけて
どんなに心配されようと
降伏するにはまだ早い
試していないことばかり
両足そろえてふみきれず
彗星のしっぽにつかまって
寝息はたしかに届いたけれど
実験は延期
波長 未確認
このままずっと 不完全
こんなかたちで
生きつづけなければならず
きらいなくせに口に入れ
蒸発するまで一夜
また 置き去り
わがまま言えばかなえられ
地球儀
ストレイシープ
誕生日の花束
いずれはなにかを手ばなして
日に焼け
つかれはて
おおいかぶさる迷彩の塔
殻をかぶって
瞼でつつんで
身を守り
救えるものなどなかったでしょう
呼び声の方
(あなたの視線に自由をあたえ)
瞳とじて
(餌食と呼んでしまうこと )
夢のなかへ
地平線の向こう
(大事な部品がたりないと
喚いても)
(みとめてもらえない)
つかまえて行こう
あたらしい世界へ
(欠けたドロップ もういらない)
風にさらせば 実がこぼれ
夜会のメロディー 追いかけて
坂の上のアサガオの城
いつしか終わった
瓦礫に埋もれて
準備はできた
冷凍睡眠
崩壊
解きはなつ時
こぼれた記憶しめす
水族館
満天
凍りついた
それでも荒地に降る
つづくモノローグ
ダイヤモンドの羽をうつ
高鳴る蝶の対位法
アメンボ
踊る天空
綱渡り
いつの日かまた会えるだろう
夜のキャンバスに舞う
星屑は花火
旅の終わり告げる
カザミドリ
ねじの回転 孤島のロケット
鍵穴だらけ 絵本の中で待っていた
(耳をすまして)
奪いつくした 恩寵の舌
ただよい ゆられている
ゆうべのオレンジ 空の青
(呼吸をとめて)
対角線上視界をとざし
デルタ 包帯 余韻
風風吹くな 灰の丘
(生きとし生けるもの)
ケトルめがけてクルミ投げ
太陽系に あらたな足音
(命のうた きいて)
さらわれていく
手をひかれ
知っていたのは
気象衛星と北極星だけ
縫いあわせても
動いてくれない
あなたはわたしにおしえない
生まれた温室の屋根の色
無実の領域
よごれた空気は入れない
かけがえのない一匹だから
あまい露と草いきれ
寄せては返す波の音で
いつくしむ
羽化前夜
立ち去れキャラバン
飛行船のシルエット
ことばなくしては
遠ざかるオリオン
禁じられたマザーグース
切断のイメージ
逆光では焼きつけられない
いとおしい終末
愛すべき失敗作
このままずっと
不完全
定理に嘘は通じない
にぶくかがやく朝の霧
あなたに拾われ
泥を吐き
双曲線上 泳がせて
誰にもわたしは支配されない
両手ひろげて立ちつくす
あらゆる呼吸を受け入れたとしても
ずっと
ずっと
不完全
こんなかたちで生まれたのだから
こんなかたちで
こんなかたちで
この かたちで
- 作詞者
lantanaquamara
- 作曲者
So

lantanaquamara の“サバンナ”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
ポルピタ ポルピタ
lantanaquamara
- 2
地平線
lantanaquamara
- 3
ウタカタ
lantanaquamara
- 4
ネオンテトラ追放
lantanaquamara
- 5
灯台へ
lantanaquamara
- ⚫︎
サバンナ
lantanaquamara
- 7
ユニコーン倒壊
lantanaquamara
- 8
わたしはひかり ひとりきり
lantanaquamara
東京発ロックバンド、lantanaquamara(ランタナカマラ)の1stフルアルバム。“ポスト邦ロック” “ポストジャパメタ”とでも形容できそうなそのサウンドは、どこかで聴いたことがあるけど、どこにもない。懐かしいようで、新しい。そんな音楽体験をさせてくれる。
00年代邦楽ギターロックを思わせるリードトラック「灯台へ」、オールドスクールなメタルへのリスペクトを覗かせる「地平線」「ウタカタ」「ネオンテトラ追放」、衝撃のメロスピチューン「ユニコーン倒壊」など、バラエティに富んだ楽曲が並ぶ。
アングラなサウンドを鳴らした初期の面影はもう見えない、と思わせる楽曲群は、8分超えの大作「サバンナ」の存在をより際立たせる。
「ポストメタル」の呪縛を解き放ち、より自由な世界へ進まんとするバンドの「決意」を体現した快作。
アーティスト情報
lantanaquamara
2016年、1st EPリリースと同時に活動開始。結成当初はポストメタル/オルタナティブメタルを志向していたが、現在は90年代ヴィジュアル系、ジャパニーズメタル、00年代邦楽ギターロック等の影響を取り入れた、より日本的な音楽性に変化。 2018年1月に初の自主企画「plant Vol.1」を開催しソールドアウト。2019年1月、1st Single『ネオンテトラ追放』にて、キャリア初のMVをリリース。完全自主制作ながら、2020年12月時点で4万再生を記録。 アンダーグラウンド~国内メインストリームを横断した幅広いインプットを楽曲に集約し、独自のロック音楽を発表していくことをバンドの活動目的とする。2022年11月2日、1st Full Album『灯台へ』をリリース。
lantanaquamaraの他のリリース
lantanaquamara