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90年代後半の過剰なモダン・メタル(no nu-metal)や激しいスクリーム、そしてチープなベッドルーム系のローファイ感を徹底的に焼き尽くし、1990年代中盤のWeezer(blue album era alternative rock)に代表される不器用なギーク・ロック(Geek Rock)の衝動と、胸を締め付けるパワーポップの極上メロディを融合させた、逃げ場のない密室の飽和音響です。BPM120の小気味よくも切ない推進力。イントロから全編にわたり、左右にハードパンニングされた分厚いクランチギター(crunchy distorted rhythm guitars doubled hard left and right)と、中央で美しくアルペジオを刻むクリーンギター、精度と温かみを両立したオーバードライブ・ベースが、1990年代特有のアナログの温かみと実直なダイナミズムを構築しています。
歌詞の核となるのは、センチメンタリズムを力でねじ伏せるフラットな現実主義。「タグに2009年と刻まれたジャケット、消えかけた手書きの地図、変化を拒絶した薄明かりの日常のなかで、ただ平行線をたどり続ける関係性の膠着。完璧な明日への回路を完全に遮断され、停滞の中に佇む男の平熱の独白」。あえてピッチ補正を排し、高音部での掠れやひび割れ(cracking on high notes)をそのまま剥き出しにした至近距離のドライなボーカルは、サビ(コーラス)に入った瞬間、目の醒めるような美しい4声の瑞々しい和声(four part harmony on choruses)へと拡張され、圧倒的なカタルシスを放ちます。特筆すべきは、終盤のブリッジ(Bridge)で突如ドラムとギターが消失し、ベースと独白のみになる「隠された仕掛け(Late Structural Deviation)」。テンポが何のアナウンスもなく2 BPM遅くなり、言葉の音節が不条理に1拍引き延ばされる不穏な時間歪曲の錯覚を植え付けます。最後はフェードアウトを真っ向から拒絶し、Eコードのフィードバックのノイズ(guitar feedback hum)の途中で、カミソリのようにプツンと音が完全遮断(cut to silence without fade warning)される、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。