真打登場のジャケット写真

歌詞

リアルと経験と私

星蓮威, R-versal

“リアル”を歌う、

それは一理あるけど

その“リアル”なんて

77億通りあるわけで

自分だけが知る気持ちや事実が

可視化された“リアル”の

それ以上にある

例えば俺が大麻売り捌く話をしても

よく見たらブスなギャルと

PVを撮っても

人類の特権である言語を

ぞんざいにした曲を

彼等のように作っても

それが所謂

“フェイク”だってのは明白だし

俺自身がそれを

一番理解しているわけ

つまり逆に言うと

今世の中の何人が

他人に決められた

“リアル”や“らしさ”に

囚われているんだろう・・・

俺の家族の借金の事実も

器物損壊の共犯になった過去も

この学歴や肩書きのおかげで

話すだけ無駄

「“リアル”じゃない」と

言うんでしょ?

社会的属性 それがカギ

年が同じでも肩書き次第ではガキ

能力より能書き 学力より学歴

“リアル”の指標 それは経歴

「“リアル”が無い」という

暴論で翻弄

あなたの世界が全体みたいな

スタンスのフォロー

躾に見せかけたただの押し付け

それを受け入れた時点で

さよなら、ぼくの本当のリアル

誰かにやらされる歌は

“リアル”ですか?

オーガナイザーにやらされる

ライブは“リアル”ですか?

じゃあ僕もストリートにいれば

“リアル”ですか?

ご自慢の評論で

決めてくれませんか?

この曲は僕の本音だけど

“フェイク”ですか?

このアルバムは僕の本意だけど

“フェイク”ですか?

貴方がそんなに僕をご存知なら

その自己満のワイドショーで

斬ってくれませんか?

「“経験”がない」という

説教への違和感

こうなれば自分だけが唯一の味方

「分かり合えないから

協力してきた」という

人類史に反した現代の産物

「勉強なんか無駄、

“経験”!“経験”!」

で、えっと、“経験”って

なんだっけ?

「実際にその世界に

入ってからモノを言いな。

お前の根拠は文献や

情報のが多すぎる」

じゃあさ、二度と

俺の大学の批評しないで下さい

だって貴方はそこでの勉強を

“経験”していない

二度と俺の性格を

批評しないで下さい

だって貴方は俺という人間を

“経験”していない

一方、これまた反人類学産物

コミュニティが大きすぎて

個の痛みが軽く

両親の離婚も将来の不安も

「みんな“経験”しているから」が

解決策

思いやりに見せかけて

崖の淵に追いやり

「相談乗ってあげる」という

エゴの重い槍

ファイザーにも治せない

自称アドバイザー

言葉尻を鷲掴んでご満悦なカイザー

“経験”の指標だってやっぱ肩書き

感覚違うのにつける“経験”の価値

「またR-versalが

屁理屈言っている、

必殺!これは君が

社会に出た時のために

言っているんだ!」

では人に刺されたら

“経験”ですか?

大麻バレて捕まれば

“経験”ですか?

何人もの女抱けば

“経験”ですか?

文献を3つほど

出してくれませんか?

好きでやる学問は

無駄なモノですか?

芸術の追求は無駄なモノですか?

貴方がそんなに分かっているなら

英語の論文に書いて

今教えてくれませんか?

例えば尾崎豊が本当にバイクを

盗んだと解釈して

犯罪者扱いしてみたり

さだまさしがあれこれ命令した直後

「できる範囲で構わない」と

言ったのを矛盾と見たり

誇張とセルフボーストの違いも

分からない

比喩も暗示もレトリックも知らない

直接的な意味しか

分かろうとしない奴が

自信満々に“リアル”だ

現実的だ◯△※☆

じゃあ質問

18歳で酒、男、女、泪について

歌った河島英五は何者?

それから最後に関係無いけど

Shing02さんの

言葉を借りて一つだけ

俺は22歳で

このアルバムを作ったけど

君の先輩が歳を理由に

批評してきたら

後輩やめた方がいいよ

君の彼氏が

これを理解できなかったら

別れた方がいいかも、本当に

いや、本当に別れた方がいい

本当に

  • 作詞

    星蓮威, R-versal

  • 作曲

    AKIRA 5G

  • プロデューサー

    ENVY DROP

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真打登場

星蓮威, R-versal

2021年冬、ついに真打登場。学術的・芸術的・総合的圧倒的。R-versalが、星蓮威と名を改め、スポークンワード・アクティビストとして15の噺で世相を斬る。一方で、あくまでもMC(Move the Crowd)のスタンスは変わらず、寧ろ今作ではその社会運動性が強まった。傷つきたくなければ聞かずにそこでじっとしていればいい。大事なことに気付きたければ今すぐにこの15演目に触れればいい。

アーティスト情報

  • 星蓮威

    Hiphopを軸に活動を続けてきたR-versalが、星蓮威(ほし はすい)と名を改め、ヒップホップ/スポークンワード・アクティビストとして再出発。あくまでもMC(Move the Crowd)のスタンスは変わらず、寧ろその姿勢にはより強い社会運動性が見られるようになった。前衛的かつ詩的な言葉選びと繊細な心情描写を兼ね備えた作品で弊習や前時代的思想に一矢報いる。

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    星蓮威の他のリリース
  • R-versal

    1999年、秋田県秋田市出身。 15歳で立ったMCバトルのステージを皮切りに、クラブから地方のお祭りまで多様なイベントでのライブを行なっている。時にヒップホップファン、時にお年寄りとジャンルも相手を縛らずに魅了してきたステージは彼の独創性を証明する。楽曲もさることながら、リリシストという言葉が実に似合う変態的かつ卓越した言葉選びで、個人的なストーリーに限らず学術的要素をも取り扱う。

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    R-versalの他のリリース
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