真打登場のジャケット写真

歌詞

もう一つの過去

星蓮威, R-versal

高校でも野球を続ける覚悟を決め

先輩方の尺度・掟は守る一年

レギュラーになれる自信は無いから

グラウンドマネージャー・

スコアラーとして入部した春

これでまた坊主

JK流行りのポーズ真似て

話合わせてあの娘にプロポーズ

それなりに可愛い娘と付き合って

部員からチヤホヤされたり

イジられたり

「野球部の星くんと

〇〇ちゃんが・・・」

すぐに広まって

他の子たちからもイジられて

久々のオフにその娘と駅前デート

あの長いタイトルの

恋愛映画なんてどう?

流行りの歌をLINEに設定して

Supremeのケースをスマホにはめて

しったげさみくても

コートは着ないで

今話題のスラングをちゃんと使って

このクラスにラッパーが

いるらしいけど

大したことないだろうから

見下しておく

それより俺が文化祭で

KREVAの基準歌ったら

皆がチヤホヤしてくれた!

忙しいけどこんな日々が楽しくて

「数学は赤点か、笑えんなw」

「でも英語は満点じゃん!」って

彼女と長電話

もう一つの過去でも英語はできた!

って、あれ・・・?

リリックノートの代わりに

スコアブックを開き

インストの代わりにトンボをかける

一小節に想いを込める代わりに

ピッチングマシンにボールを込める

MVの代わりにブルペンで撮影

ステージの代わりに

グラウンドで発声

R-versalの末尾“l”のサインを

書き終える頃

スコアブックに刻む残塁のℓ

まだあの娘と付き合っている

一途な男

最後の大会、打倒あの私立高校

彼女にLINEした「勝つよ、必ず」

増えていくスコアブック上の赤丸

先輩の屈辱は俺たちが晴らす

浜風と蔦に胸が高鳴る

「星記録員が入っています」

NHKアナウンサーの紹介に

うちの祖父母が拍手

増えるウチのエースの投球数

焦り・緊張から名手の捕球ミス

7Eを記し、ふと思った

もう一つの今なら

一体どうなっていた?

そこじゃ3番レフトの星くんがいて

9回表の時点でもう既に泣いて

プロ志望届に名前を書いて、って

そんなことを考えていたら

試合は終わっていた

地元に着いていた

五厘からツーブロック

髪も伸びていた

進路の話 少しときめいた

彼女と同じ大学に・・・とか思った

見下していたあのラッパーに

テレビカメラが

向いていることに気づいた

なんとなくそこで思ってしまった

「野球続けていなかったら

どうなっていたかな・・・」

リリックノートの代わりに

スコアブックを開き

インストの代わりにトンボをかける

一小節に想いを込める代わりに

ピッチングマシンにボールを込める

MVの代わりにブルペンで撮影

ステージの代わりに

グラウンドで発声

R-versalの末尾“l”のサインを

書き終える頃

スコアブックに刻む残塁のℓ

高校では野球を辞める覚悟を決め

社会の尺度・掟に違和感を抱く

ガールズトークにイライラしては

文化祭のカラオケに中指を立てる

甲子園行けないくせに

チヤホヤされて

俺を見下すアイツらをひたすら妬む

3番レフトの実力があれば・・・

グラウンドマネージャーに

でもなっていれば・・・

気づいたらテレビで特集されていた

調子乗って人気者を装った

演出もそっちに持って行ってくれた

だけど違和感を感じたのも

嘘じゃない

卒アルに黙殺した闇は残らない

センバツを見ていると思い出す

夏の甲子園を見ていると思い出す

そこでいつも

なんとなく思ってしまう

「野球続けていたら

どうなっていたかな・・・」

スコアブックの代わりに

リリックノートを開き

トンボの代わりにインストをかける

ピッチングマシンにボールを込める

代わりに一小節に想いを込める

ブルペンの代わりにMVを撮影

グラウンドの代わりに

ステージで発声

スコアブックに残塁のℓを刻む頃

物販でR-versalの

サイン末尾“l”を書き終える

  • 作詞

    星蓮威, R-versal

  • 作曲

    AKIRA 5G

  • プロデューサー

    ENVY DROP

真打登場のジャケット写真

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真打登場

星蓮威, R-versal

2021年冬、ついに真打登場。学術的・芸術的・総合的圧倒的。R-versalが、星蓮威と名を改め、スポークンワード・アクティビストとして15の噺で世相を斬る。一方で、あくまでもMC(Move the Crowd)のスタンスは変わらず、寧ろ今作ではその社会運動性が強まった。傷つきたくなければ聞かずにそこでじっとしていればいい。大事なことに気付きたければ今すぐにこの15演目に触れればいい。

アーティスト情報

  • 星蓮威

    Hiphopを軸に活動を続けてきたR-versalが、星蓮威(ほし はすい)と名を改め、ヒップホップ/スポークンワード・アクティビストとして再出発。あくまでもMC(Move the Crowd)のスタンスは変わらず、寧ろその姿勢にはより強い社会運動性が見られるようになった。前衛的かつ詩的な言葉選びと繊細な心情描写を兼ね備えた作品で弊習や前時代的思想に一矢報いる。

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    星蓮威の他のリリース
  • R-versal

    1999年、秋田県秋田市出身。 15歳で立ったMCバトルのステージを皮切りに、クラブから地方のお祭りまで多様なイベントでのライブを行なっている。時にヒップホップファン、時にお年寄りとジャンルも相手を縛らずに魅了してきたステージは彼の独創性を証明する。楽曲もさることながら、リリシストという言葉が実に似合う変態的かつ卓越した言葉選びで、個人的なストーリーに限らず学術的要素をも取り扱う。

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    R-versalの他のリリース
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