23世紀の車窓より (feat. peco) [Live at CITYPOP 2 GINZA, cafe ohana, 2023]

楽曲全体を覆うすこし癖のあるスペーシーな浮遊感。作曲・88flavors(元Aqua Timez、mayukoのソロプロジェクト)、作詞・カユ、編曲・Huge M。作家陣が引き継がれたことで(イラスト・ocomeも！)、世界観は前作「アース&スカイ・ウィズ・ダイアモンドダスト」と繋がっている。いや、だからこそ、ヴォーカルが代わっただけでこんなに響き方が違うのかと驚かされる。
極力抑えて、抑えて、それでもほんのり体温を伝えるpecoの歌声によって、23世紀の無機質な景色が圧倒的な説得力で描かれていく。〈引き出し〉やら、〈プロペラ〉やら、22世紀からやってきた青くて丸いのを妄想させるユーモアを散りばめつつ、〈遺伝子操作でみんな何も言わなくなったんだよ　分かるだろう　始まっていただろう君の時代にも〉なんて、私たちが見て見ぬ振りをしてきた待ったなしの問題を、前作以上に明瞭に切実に突きつけてくるのだ。
参ったなぁ、4作目にして気づいてしまった。クリエーター集団“ラプラス”は現在を捉え、絶え間なくアップデートを重ね、その音楽的探究心が尽きることはない。だから全貌を掴むことなんてできっこない、ということを。