Riona Front Cover

Lyric

Riona

Hitomi Onochi

Woodbass  Riona Yamada

Piano / Vocal Hitomi Onochi

____そういえば、物理への興味はいつからあったんでしょう?

初めて物理学をやってみたいと思ったのは

中学校の時、NHKで「素粒子論の歴史」 みたいなのが放送されていて。

それって、ぐちゃぐちゃでよくわからない物事を整理できる、論理みたいなものがある、みたいな話をするわけじゃん。

そういう話が好きだと思った。数学も好きだった。

「ある程度ルールと秩序があって、そこに説明不足がない...」みたいな世界の話が好き。

自分の頭の中がごちゃごちゃしてるから、好きなのかも?

ずっとこの世界に憧れてた。大学院を卒業して一旦会社に入ったけど、

やっぱり、物理を真面目に勉強したかったなあと思って博士課程にもう一回入り直した。

今、すごく幸せ。直感的にやりたいことってまじだな。って。

コントラバスもそうで。自分が弾く前から、ひくべき楽器だって思った。

触ってみたら、生涯の楽器だなあって思う。

生まれながらに好きなことって、あるなあってタイプだった。物理はその一つ。

・・・

____わたしたちはジャズセッションを通して知り合いましたよね。

りおなさんはベースを弾く。コントラバスをいいなって思ったのはいつごろから?

ベースはもともと、聴こえると嬉しかった。ずっと興味があった。

お父さんのジャズのレコードとかを聴いて育ってきたからかなあ。

____私も直感的にいいなって思うものはいっぱいあるけど、

りおなさんみたいに一極集中できない。

例えば、音楽の何が好きなんだろう、と考え始めた時、

上手に演奏できることじゃなくて、音楽を通して人と接するような瞬間が嬉しいって気づいた。

自分じゃない人と一緒に何かをやって、自分の引き出しだけではできないことが可能になっていくようなことがやっぱりおもしろいなあ、と思った時、

別に音楽じゃなくてもいいなって思った。

好きなものの共通項を考えると

音楽じゃなくてもいいってことね。わかるわ。めっちゃわかる。

____そういう形で行ったら、りおなさんの中で音楽と物理は近いんですか?

たまに感じるけど、難しいなあ。。。。ちょっと違うのかなあ。どうかなあ。

____ジャズって割と理論が確立されてて、

「こうしたら気持ちいいよ」があるから...興味がちかいのなあと思ったりしてました。

たしかにねえ。そういう人もいそうだけど、うーーん。

音楽理論は得意じゃない。リズムとか。ラテンのリズムとか気持ちいいじゃん。

アドリブで言うと、たまに自分が解き放たれた感覚になるの。

そういうのを感じる瞬間がたまらんち、って感じ。病みつきっち、て感じ。

物理はその領域に入ってないから、簡単に共通項はみつからないけど。

物理は...。

自分は、世界を俯瞰してみれることが幸せだと思っていて、

ちっちゃい時、すごい(ばくぜんと不幸を感じてた)不幸だったんだよね。

社会の仕組みも、いろんなものごとがよくわかんなくて苦しかった。

「理由はわかんなくていいから、これがいい」っていう価値観が気持ち悪かった。

物理を勉強すると、より俯瞰してものごとを見れるから、生きるのが楽なんだよね。

数学とか使わなくても、論理的に考える、みたいなことができるんですよ。

人生が動きやすい。

____そうやって動いていくのが幸せなんですね。

うんうん

いちいちショックを受けたくないんだよね。

お好み焼きを作ってた時さ、

生地をひっくり返すときにフライパンの取っ手が取れて、

お好み焼きが床と壁にくっついた時があった。

「うわああ」って悲しむとキツイんだけど、

「今こういう動きが働いて、落ちたな」って考えると、

「落ちたな」ってその事実をそのままフラットに捉えられる。

____感情と状況を分けて考えられるってことですか?

そうそう。それが幸せなんだ...。

・・・

あと、もうひとつ好きなものにスポーツがあって。

今話してて気づいたんだけど、好きなことの共通項は、

自由を感じられることかなと思った。

____スポーツの時に感じる自由って?

体が...自分が考えるよりも先に身体が感じとってなにかをする時、嬉しい。

音楽も、アドリブとか、一生懸命考えてやったものよりも

出てきちゃった、音を出せた時に放たれた!ような感じがする。

物理も、混沌としたものの中に秩序を見出せると、

その範囲で自分はこういうことができるんだ、とわかると自由を感じる。

おのちんみたいに人のことを考えてなくて、自分本位なんだよね。

でも、音楽やってたおかげで、たくさんの友達ができたことに気づいたよ。

とっても大切なツールであると気づいた。思い改まりました。

____私は基本的に「自分」がない、と思ってるから他者に意識を向けてるんだと思う。

ほかの人はどうか分からないけど、「自分」のかたちが先にあるんじゃなくて、

環境が先にあって、それが自分の輪郭を作っていくというか。そういう印象が強いと思っている。

____好きなものとかも、それにまつわる出来事があって。

いろんな外的環境が重なって自分が見えてきた、みたいな意識が強いから、

人と関わること、話すことを重視してるんだと思う。

打算的な姿勢を自分で感じる。それが人を想っていて立派、とかでもなくて。

でも事実として気づけたのはすごいよ。

・・

____自分のいいたいこと...。

いいたいことを言うのも難しいんだなあって最近思う。

はなしが今落ち着いてできてるのも、りおなさんが聞いてくれるからだなあって思う。

これが緊張する相手だったら、シナリオをちゃんと立ててはなさなきゃ..。ってなる。

わかる〜。漏れがないか..とか気になるよね。

____安心できるってのは侮れないなと思う。

自分のことを客観視できてる方だと思ってたけど...。そうでもないなあと気づいたり。

・・・

____宇宙物理学のことももう少し聞きたい。

世界をどんなふうに感じ取って、観察しているのかがすごく気になるんだけど...。

例えば、

今目の前にあるアルコールティッシュの箱がどうなるか。

運動方程式(考えてる対象のものが今後どうなりますか?を考える式)を用いて考えると

①重力を受けている

②大気による圧力がかかっている

この二つの力がかかっている状況を考慮する。

この二つを(運動方程式の右辺に入れて)計算すると、未来のうごきがわかるんだけど、

加えて、もし自分がこのものを押すとすると。

自分が今ものにかけている力(外力)も方程式に加わる。

この場合それも含めて計算するのね。

これって、「今何が起こっているか」を

よりクリアにみることができることなんだけど、

そんなとき、「助かった〜!」って感じる。ものごとの構造がわかると助かる。

事象を説明するのに十分な情報があると、うれしい。

____事象のなかでも、分析したい対象ってあるんですか?細かく知りたいっておもうような...。

綺麗に説明できそう、って感じのものかな。

人の気持ちとか、多種多様なものに関しては考えたくないかもしれない。

今は「惑星がどうやってできるか」を研究してる。

惑星のできかたに関して、

①惑星の種のようなもの(最初の状態:目に見えないくらいのサイズのちり)

それ同士が電気の弱い力でくっつき始める。

②そして、だんだん目に見える小さい形になってきて。

③そのうち、それ同士が重力でくっついていって、惑星サイズになる。

…という流れの説があるんだけど

「それって、ほんとに、そうなんですか?」って、みんな考えてる。

実際に計算してみると、説通りにはいかなかったりするんだ。

ちりがくっつく力よりも、逃げ去る力の方が強かったりするんだよ。

・・

____「物理」というジャンルも広いと思うんですが、

なんで惑星と絡めて研究しているんですか?

正直、どうでもいい。宇宙とか天体が好きなんじゃなくて、物理が好き。

物理を道具として使いたくて。適したのが惑星形成のはなし。

理論で説明できるもの。それが有用にはたらく世界だから嬉しい。

・・

2025.1.3

  • Lyricist

    Hitomi Onochi

  • Composer

    Hitomi Onochi

  • Producer

    Hitomi Onochi

  • Vocals

    Hitomi Onochi

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