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これまでのコラボレーションワークや既存のサウンドを踏襲しながらも、本作ではさらなる進化を遂げ、lymphというアーティストの精神世界をより深く提示する決定的な一枚となっている。
不気味なほど親密な空気感の中、巨大なシステムとしての「東京」に囚われた若者の苦悩を、フィルターを通さず独白する本作は、ジャンルの枠に収まるものではない。
それは楽曲の集合体というよりも、ただ「体感」されるべきシネマティックな作品として完成している。
音響面では、感情豊かなコード感、突発的なパーカッション、そして歪みが幾重にも重なる緻密なテクスチャーが特徴的でありながら、最終的には柔らかな着地を感じさせるバランスの取れた仕上がりとなった。
フィッシュマンズやTohjiといった時代を象徴するミュージシャンをサンプリングソースとして引用しつつも、lymphはあくまで新世代の物語を紡ぎ出していく。
『Yes no Yes』は、何かの解決を提示するアルバムではない。
それは「Yes」と「No」の間に漂う空白、すなわち「中間(in-between)」を描いた作品であり、現代特有の孤独の肌触りを鮮やかに捉えている。
騒々しく、汗ばんでいて、退屈で、そして美しい ——。
lymphによる新たな表現の到達点となる本作は、今後の活動へのさらなる期待を高める一枚となった。
lymph: 名古屋を拠点に活動するラッパー/ソングライター・サンプリングを多用した抽象的なアプローチと、極めてパーソナルなリリックで知られる。都市生活における孤独と、自己の内面にある真実の「対話」の探求をテーマとした作品群は、日本のエクスペリメンタル・ヒップホップ・シーンにおいて独自の地位を確立している。