歌詞

今年も旅鳥たちがあの日を求めて帰ってきた

変わらぬ泥のかごに　残してきた温もりの夢を

幸せの音だと信じて確かめた場所

耳の下で流れる君の血潮、呼吸、囀り

忘れない

滲む先のあの日の君の姿

皸た指を重ねた明けの天

あの焦げた小麦の香りに隠れた

伏す目に透けた濡れの春

肌で感じる見知らぬ景色の風

「忘れてしまおう…」と

長い瞬きに伏す

掌の中　差し込んだ天日で

光らないように包み込んでいて

憧れた場所に背かれたとしたら

戻れないから…

迷い込んだ道の先

行き止まりの壁を撫でる

両耳から感じる　街が生きている音が揺れて

鋼打つ音色は鼓動の様で

飛び交う声はまるで呼吸の様

その人波のさざめきを――

次の街の声が聞きたい

忘れない

痛みと愛しさ知った景色

響いた鐘の音　慕わしき声色は

包まれた　あの優しさを呼び起こす

靉靆の隙間を　儘　揺蕩う

遠く遠くで約束をしよう

いつかこの答え見つけるための道を

陽の落ちかけた海岸の砂浜

この心のように足元を捉える

映された水面に滲む光を

瞳に乗せて

忘れずにいよう

痛み愛しこの街

全部を包んで

また旅に出かけよう

まだ見ぬ先へ声を響かせたら

約束の答えを伝えに来るから

そしていつかこの日この街が一つの

宝物になる