歌詞

いただきます、いただきます

───いだだきます

「さわやかな夜、人々が家の前のお外で、

テーブルを囲み、楽しそうに夕食を食べておりました」

「その様子を、離れて一人、悲しそうに見ている女がおります」

「女は空を見上げ、溜息をつくと、

うなだれて、その場から去っていきました」

「ひと気のない広場まで来ると、

女は、美しい満月の神様を見上げて言いました」

嗚呼、神様、わたくしは

生きとし生けるものを殺し、食べ

熟してしまった、この身体、この乳房

動物やお魚は、共に生きる仲間ではありませんか？

草や木や、穀物だって、生きているのではありませんか？

わたくしはもう、決して食べませぬ

こんな罪深い人生から、出て行きます

「女は、何も食べなくなりました。

食べなくなれば、自然の理、やせ細り、弱って行きます。

───そして最後に、女は、月の神様に手を伸ばし、」

嗚呼、神様

「───と言って、死んで行きました。

これを見ていた、周りの人は」

何て立派な女だろう

それに比べて、俺たちは

何て汚れているのだろう

「やがてみんなが、月の神様に誓います」

食べませぬ！

「国の人たちは、一人、また一人と

満足気に死んで行きます」

食べませぬ！　食べませぬ！　食べませぬ！

「そして、残るは最後の一人、

人間は、終に罪を許されて、約束された、清らかな地に降り立ったのです。

月の神様に手を伸ばし、最後の一人は言いました」

嗚呼、神様、あなたのもとへ参ります

「満月に輝く月の神様は

端から端までの、大きな口を開けて

舌をべろりとなめずって、こう、仰いました」

───ごちそうさま