※ 試聴は反映までに時間がかかる場合があります。
※ 著作権管理事業者等が管理する楽曲は試聴できません。
フレデリック・ショパン (1810-1849) 作曲の、「葬送ソナタ」として知られているピアノソナタ第2番を私が最初に聴いたのは、高1だった1980年。バンド活動でヴォーカルを担当しながら、オリジナル曲を作り始めたばかりの頃でした。
ワルシャワで開催された第10回ショパンコンクールでの、チェコ出身のイーヴォ・ポゴレリッチの演奏が、たまたま付けていたFMラジオから流れてきたのです。
衝撃でした。何よりそのスピードに。
第1楽章の冒頭の後、”Doppio movimento”(2倍の速さで)と指定してある箇所を、彼は3倍の速さで弾いていたのです。
この演奏は物議を呼び、伝統的解釈を支持する審査員達により彼は決勝に進めず、それに抗議して審査員のマルタ・アルゲリッチが辞任する事件となったことは後で知りました。
ただ私にはその演奏がその時、まるでハードロックのように聞こえ、当時レインボーにいたドラマー、コージー・パウエルが一緒に演奏していたら、と熱い妄想をかき立てていたのでした。
それを最初に実現しようとしたのが、私が教育大学音楽科に進んで2年目の1984年。4トラックのカセットMTRを用い、黎明期のドラムマシンで打ち込みをしたトラックの上に、ピアノ専攻の友人にピアノを弾いてもらって、デモを制作しました。
が、当時の技量の限界もあり、思ったものができずに断念。
それから約40年。これがきっかけでショパンを深く学びこよなく愛することとなり、作曲家・プロデューサーとなった私は、技術と機材の進歩により、気がつけば長年の構想を実現させることができる環境を手にしていたのでした。
2年前の2023年より “Rock Songs Project” の楽曲制作を続けさせていただいているシンガー、木瀬りえ子さんにこの企画をお話ししたところ、二つ返事でOKをいただき、長く眠りについていた「ショパンのソナタ2番1楽章をロックドラムとコラボする」企画は突然甦えることとなりました。
まさに自分の原点の一つともいえ、終活のひとつでもあるこの曲の制作作業は、まさに至福の時でした。40年前のデモを下敷きに、溢れ出る様々なアイデアを大胆に取り入れ、売れることなど一切考えずに推敲を重ね、およそ2ヶ月かけてアレンジを仕上げました。
歌詞は、あまり知られてはいないショパンその人の人生を題材にしており、彼がピアノに託した熱い想いを閉じ込める工夫をしています。
何より、この歌に命を灯した木瀬さんの魂を込めた歌唱の素晴らしさ!
そのハイトーンと表現力はまごうことなき彼女の歴代最高のパフォーマンスであり、レコーディングでは鳥肌が何度も抑えきれず、この現場にいられたことを誇りに思うほどでした。
こうして遂に完成した「フレデリック・ソナタ」を、いよいよ皆さんの元へ届ける準備が整いました!
皆さんはどう思われるでしょうか?長く激しい曲ですので、受け入れられる方は限られるかも知れません。また、ショパンを汚すな!という方もおられるでしょう。
それでも一度体験いただき、もし心が動き、ショパンの人生に興味を持っていただくことができたら、何より本望です。
2025年12月 明石隼汰
きせりえこ。 1993年、トーラスレコードより「愛されたいと思うのに」でデビュー。 1998年に “Reebow and High Technical Club Band” を結成、現在も活動中。 そのパワフルでソウルフルな歌声は、あまたのファンだけでなくミュージシャンをも虜にし、プログレッシヴロックバンド “Truth & Reality”、アコースティックプログレトリビュートバンド “ROM” のヴォーカリストとしても活躍、数多くのライブを精力的にこなしている。 2016年、ニューミュージックプラスより1stアルバム「Ree-Cycle」を発表。 「りー坊 (Reebow)」の愛称で親しまれ、ワンレングスの超ロングヘアが特徴。