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去年の六月は、ただの「友達」だった二人の関係を、一瞬で溶かした。
それまで無意識に保っていた「ほどよい距離」。偶然に触れることさえ「いけないこと」だと思い込んでいた二人に、突然訪れた小さな出来事。
他の男が、自然な流れで彼女に触れた瞬間、俺は自分の無力さを痛いほど突きつけられた。あの無力さが、俺を動かした。
隠しきれなくなった想いをぶつけたら、彼女は静かに頷いた。
そこから先は、まるで急流に飲み込まれるように恋が進んでいった。これは祝福されるはずのない恋だとわかっていながら、それでも二人で選んだ道だった。横須賀の港や街、横浜の異国情緒あふれる風景。
人目を気にして、人目がない時に手を繋いだり、肩を寄せ合ったりしたあの場所々が、今も胸の奥に焼き付いている。
甘かった。切なかった。どこか儚かった。この恋は刹那の恋になるかもしれないと分かっていた。
でも、あの夏の始まりにしか味わえない、特別な色を確かに持っていた。そして一年が経った。
二人はもう、隣にいない。
それでも六月になると、なぜかあの頃の記憶が、鮮やかに蘇ってくる。
靄のようにまとわりつく想い。
幻のように浮かぶ彼女の横顔。
痛みと、幸せが、奇妙に混ざり合ったまま。この曲は、運命の転換点になった「六月」を、ただ懐かしむためのものではない。
むしろ、あの六月が自分の人生感を大きく変えたのかを、静かに認めるための歌だ。
忘れられない、ではなく——忘れることなく、胸に刻んで生きていく。
そんな覚悟を、六月の風に重ねて歌った。