歌詞

しゅん　しゅん　やさしい音

毛布の端で昼があくびする

ちゃぶ台の上に湯気がのぼり

みかんの香りが部屋をめぐる

ねこが足もとで丸くなり

胸の呼吸がゆっくりそろう

指先にのこる甘い温度

ページの角がやわらかくなる

こたつのまどろみに身をゆだね

きょうの言葉をほどいていく

やわらかな灯りのリズムのままに

あしたの入口をみつけだす

くもったガラスに指で丸

外の白さが少しやわらぐ

ねこのひげがきらり光って

笑みがひとつこぼれ落ちる

ひと呼吸して肩を落とせば

遠い街の音が薄くなる

こたつのまどろみに身をゆだね

言葉はそっと澄んでいく

赤い灯りのぬくもりだけ

胸にしまってページをめくる

時計の音がゆっくり進み

カーテンの端が小さく揺れる

ねこがしっぽで前をさして

夢の手前へ導いてくれる

名前のない安らぎだけが

部屋のまんなかに灯っている

「きょうはここでいいよ」と

小さな声が胸に灯る

こたつのまどろみに身をゆだね

きょうのページをとじていく

やさしい灯りに手をひかれて

あしたのページをひらいてく

同じテンポでならぶ心拍が

静かな終止にほどけていく

灯りをひとつ残したまま

ねこに「おやすみ」をそっと言う