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深草少将の「百夜通い」とは?——平安の恋に捧げた百の夜
深草少将(ふかくさのしょうしょう)は、平安時代の貴族であり、ある姫君に深く恋をしました。しかし姫は容易には心を許さず、こう告げます。
「もしあなたが、百夜にわたって私のもとへ通って来たなら、その時は想いを受け入れましょう」
それは、風や雪、雨の降る夜もある、厳しい試練の約束でした。
それでも深草少将は、毎夜、姫の屋敷に通い続けます。静かに門前に立ち、ただ姫を想い、百日分の情熱を積み重ねていきました。
そしてついに、百夜目の夜が訪れます。しかし――
その夜に限って、嵐が深草少将を襲いました。身体も冷えきる中、彼は力尽きてしまい、百日目の恋は、果たされることなく終わってしまうのです。
この物語は、「忠誠と愛」「報われぬ想い」「命を懸けた恋」として、今なお語り継がれています。後世では、“百夜通い”=誠実な恋の象徴として多くの歌や物語に取り上げられ、切なくも美しい日本の恋愛譚として親しまれています。