あの人が吐いた煙草のけむりは
するりと形を変えていって
またロマンチシズムに縛られた私を置き去りにしてしまう
午後の街角はうだるような暑さで
野良猫が所在無げにさまよっている
「どこか似ている。」
拭い去るようにソーダを流し込んだ
いつもそう
気付かぬ内に景色は表情を変えていく
膨らんでいって 見えなくなって
その度に切なくなる
どこに行ったって息苦しくて
窓の外に夏が揺れる
あの人が吐いた煙草のけむりは
刹那さとプライドに満ちていて
息を吸い込むとむせ返る私を置き去りにしてしまう
最終の汽笛が聞こえる
冷たさに鈍く、鮮明に響く
きっと羽があって 浮かんでいって
ふとした瞬間に消えてしまう
繋ぎ止めていたはずだった
ドアの向こうに冬が募る
あの人が吐いた煙草のけむりを
真似して、私も吐いてみる
また背伸びをして 追いついたふりして
その度に苦しくなる
私だけ遠くに取り残されて
夜の街に春が舞う
新しいけむりでその人の表情は見えない
煙草の火を消して・・・
- Lyricist
Yuken UENO
- Composer
Yuken UENO
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Stroll
Ibis Brown