

灰皿の隅に 細く残った
口紅つきの吸い殻ひとつ
閉店間際の酒場には
古い時計が欠伸をしてる
「じゃあな」のひと言
それだけだったわね
あんたらしいわと笑ったけれど
グラスを持つ指が少し震えた
最初に会った日のことなんて
きっと忘れているでしょう
安い電気ブランを分け合って
将来の夢を語った夜を
大きなことばかり言うくせに
肝心なことは黙ったまま
優しさだけじゃ暮らせないと
教えたのは あんただった
男はどうして
さよならを急ぐの
女はどうして
思い出を磨くの
愛していたからこそ
綺麗に憎めない
灰皿に口づけ
燃え尽きた恋の残り火に
戻れないと知りながら
もう一度だけ 触れてみたい
灰皿に口づけ
涙じゃ消せない夜がある
愛した罪も 傷跡も
煙のように抱きしめて
カウンターの端で
ママが洗い物をしている
氷の溶けた音だけが
やけに大きく響く夜
誰かの忘れたライターに
かすれたイニシャルが残ってた
人生って案外
こんな小さな忘れ物で
できているのかもしれない
若い頃なら追いかけて
泣いてすがったでしょうね
「行かないで」と言えなくて
背中ばかり見送ってきた
だけど今ならわかるのよ
恋だけじゃない幸せも
ひとりで飲む珈琲の味も
悪くないってことくらい
男は不器用で
女は少し意地っ張り
だから最後は
上手くいかないのでしょう
それでも出会えたことを
悔やみたくはないの
灰皿に口づけ
燃え尽きた恋に乾杯を
笑った夜も 泣いた朝も
全部あたしの宝物
灰皿に口づけ
もう振り向かず歩き出す
さよならよりも「ありがとう」が
似合う女でいたいから
灰皿に口づけ
最後の煙が消えるまで
あたしはちゃんと
愛していたのよ……
店の灯りが消えたあと
白んだ空が窓を染める
吸い殻ひとつ 灰皿の中
終わった恋のぬくもりに
そっと口づけを落として
「お元気で」
誰にも聞こえない声で呟き
扉を開けて
朝の街へと歩き出す……
- 作詞者
夏目そら
- 作曲者
夏目そら
- ミキシングエンジニア
夏目そら
- ギター
ポン汰
- ドラム
ポン汰
- ボーカル
ポン汰
- ピアノ
ポン汰
- サックス
ポン汰
- アコーディオン
ポン汰
- その他の楽器
ポン汰

夏目そら の“灰皿に口づけ”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- 1
レモン飴では騙されない
夏目そら
- 2
雨に消えた口約束
夏目そら
- 3
赤いヒールのため息
夏目そら
- 4
夜更けの嘘つき時計
夏目そら
- 5
グラスに浮かぶ横顔
夏目そら
- 6
港灯りのララバイ
夏目そら
- 7
真珠色のさようなら
夏目そら
- 8
化粧鏡の向こう側
夏目そら
- 9
灯りを消したあとで
夏目そら
- ⚫︎
灰皿に口づけ
夏目そら
ネオンに揺れた恋も、嘘に濡れた夜も、拍手に包まれた舞台もあった。
愛されることを夢見て、傷つきながらも口紅を引き直し、朝を迎えてきた女たちへ。
『灰皿に口づけ』は、昭和のジャズ歌謡とブルースの香りをまとった、大人の女性たちの物語。
雨に消えた約束。
赤いヒールに隠したため息。
港の灯りに重ねた願い。
鏡の向こうで微笑む、あの日の自分。
恋をしたからこそ優しくなれた。
涙を知ったからこそ、強くなれた。
これは、誰かを恨むための歌ではなく、
愛した日々に「ありがとう」と口づけを贈るためのアルバム。
煙のように消えていった思い出さえ、
きっと人生を彩る宝物だったのだから。
アーティスト情報
夏目そら
日本の伝統美と現代のエレクトロサウンドを融合させた音楽を制作するアーティスト。和楽器×エレクトロ、ボカロ×幻想的なメロディを得意とし、幽玄で切ない世界観を楽曲に込める。TuneCoreを通じて、より多くの人に音楽を届けたいと思っています。
夏目そらの他のリリース



