RAPSTAR DISのDIS

『ラップスタァディスのディス』は、
“引退宣言からの即復帰”を繰り返す、あるメンヘラ気質のラッパーに向けた強烈なカウンターとして制作されたディストラックである。
楽曲は、辞めると言いながらすぐ戻ってくる一貫性のなさ、感情に振り回されたような行動、そして毎回のように他者へディスを投げ続ける浅さに対して痛烈な疑問を投げかける。
「史上最速復活エンタメラッパー」「ただのカマチョ」「メンヘララッパー」といった言葉は、その軽薄な言動と“構ってほしいだけ”の発信スタイルを鋭く突いている。
さらに、華やかなブランドを着ることで虚勢を張る姿勢や、呼ばれるはずもないレセプションを語る背伸び感への指摘など、表面的な見栄と実態の乖離もテーマとして描かれる。
全体を通して、相手の“薄っぺらい復活劇”に振り回されることなく、冷静かつ皮肉を込めて距離を置く姿勢が作品の核となっている。
サウンドは Jersey Club と Drill を掛け合わせた攻撃的なビートで構成され、速いテンションと鋭いスネアが、楽曲の挑発的なエネルギーを最大限に引き上げる。
繰り返される「グラ／グラグラ」のフレーズがクラブ感を強め、痛快なフローと共に作品全体を一層際立たせる。
“やめる・戻る”を繰り返す不安定さに対し、
「もう付き合っていられない」という態度を音で突きつける、
冷笑と挑発が同居した鋭いアンサーソングである。