

海の家は骨だけになり
潮風の中で小さく鳴った
笑い声の抜け殻を
浜辺がそっと抱いている
濡れた砂に残る文字は
波の先でほどけて
君と歩いた一行目が
胸のページに残ってる
空はまだ明るいままで
影だけが先に伸びていく
言えなかった言葉さえ
余白の中で息をした
八月の背表紙を
閉じるたびに鳴る音
さよならじゃ終われない
まだ次のページがある
泣いた日も 笑った日も
ちゃんとここに残ってる
あの日の光をしおりにして
僕はあしたを開いてく
坂道に錆びた自転車
夏草の匂いを乗せて
遠い祭りの太鼓だけが
夜の向こうへ渡っていく
缶ビールの銀の音
花火の煙 帰り道
何でもない場面ほど
星屑みたいな文字になる
めくりかけた季節には
まだ白いページがある
君がくれた青の残りも
朝のインクに混ざってく
八月の背表紙を
閉じるたびに鳴る音
さよならじゃ終われない
まだ次のページがある
戻れない日々があるから
書ける明日があるんだ
胸にしまった物語を
僕は何度も開いてく
破れかけたページにも
消えない光が眠ってる
失くしたんじゃない
形を変えて残ってる
八月の背表紙を
閉じるたびに鳴る音
僕らを次の季節へ
ゆっくり押し出してく
これまでのすべてを抱いて
真っ白な朝を開こう
消えていく景色の中で
消えない言葉を見つけたから
その続きを書きながら
僕は未来へ歩いていく
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TOKYO3Z
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八月の背表紙
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