

ひとには生涯変らないポイントがあるという
年老いてしまっても ぼくにはすぐに分かる
きみの目は光を浴び アールグレイの
紅茶みたいな色に 変化してゆく
覚えているんだ いくつになっても
忘れようのない きみのアイリスを
ちょっとのあいだ ぼくにつかまって
思い出話するわけじゃない
今ごろ気づいたささやかなことを
言いだしかねた 伝え損ねた ああ
その瞳 愁いを帯び 飴色の珠
触れることできずに 壊れてしまう
覚えているんだ いくつになっても
忘れようのない きみのアイリスを
弁解したくない あのころの生き方
書き換えようがない 戻れるわけでもない
ただ
ただ覚えてる? ふるさとの山に
登って 迷ってしまったこと
夕日は沈み 森は暗闇
山小屋への道を ぼくら探した
フクロウが啼き 木立はざわめき
もしかしたら このまま しぬんじゃないか?
と笑った
ひとには生涯変らぬポイントがある
瞬時の認証 識別する技術
きみの目を覗いたら 吸いこまれそうな
底なしの瞳に 仄かに揺らめいた 篝火をみた
覚えているんだ いくつになっても
忘れようのない きみのアイリスを
きみのアイリスを
- 作詞者
岩下啓亮 Sardine
- 作曲者
岩下啓亮 Sardine
- レコーディングエンジニア
岩下啓亮 Sardine
- グラフィックデザイン
Kisakino Mina
- ギター
岩下啓亮 Sardine
- ボーカル
岩下啓亮 Sardine

岩下啓亮 Sardine の“虹彩”を
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ストリーミング / ダウンロード
過去に録音した未完成の3曲をミニアルバムの形でリリースします。
いつかはちゃんと録音しようと考えているうちに四半世紀が瞬く間に過ぎました。後悔することしきり、ですが、不完全なままでも、世に放ちたいとの思いが勝りました。
願わくは誰かが引き継いでくれればいいのだけど。と、あてのない望みを抱いています。
なお、ジャケットは、昨年リリースしたシングル『夏の記憶』と同様、Kisakino Minaさんの撮影した写真にしました。
アーティスト情報
岩下啓亮 Sardine
鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。
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