

1
歓びは 哀しみをつれあいにして
夜の中 ぼくたちを包みこむ
初めての 衝撃を失う
辛さを噛みしめる
このまま今の感情が 永遠に続くなら
日々の中にそれは 色あせるものならば
時のなかを 駱駝のように
旅しよう 月の映える道を
快楽は 苦しみを引き連れて
部屋の中 ぼくたちを満たしている
抱きしめた こころの波打ち際に
裸足で入ってゆく
これから先のことならば
考えられない たぶん
Ⅱ
どこまで行けば そこに着けるんだろう
雨は降りやまない 雨は降りやまない
確信が持てない
本は閉じよう 電話をしよう
あなたの声が聞きたい
今ごろは どこらかで 噂になってるだろう
ヤツはどこに どこにいるんだ どこで何をしている?
生きてるよ 今日もイライラしながら
ベンチに腰かけているさ
黒い空 湿った線路
黒い空 湿った線路
草臥れた鞄
野良犬のようだな 俺って
くしゃくしゃのハンカチみたいだ
あゝ逢いたいな あなたに
黒い空 黒い空 湿った線路
黒い空 続いてゆくリズム
草臥れた鞄 野良犬のようだな
俺ってくしゃくしゃの ハンカチみたいだ
あゝ逢いたいな あなたに
Ⅲ
赤く染まり 渦を巻いた 風紋の中
息を切らし 駆けていった 裸足のままで
今夜はおまえを帰さない
今夜は 離したくない
見せてあげる 燃える朝焼け
藍色の空 星や月は 退いていく
勢いつけて 走りぬける 肩をすぼめて
今夜もおまえを見失うのか
今夜も 拒絶するのか?
見せてあげる 燃える朝焼け
川のほとり 乳白色の 霧が立ちこめ
何もいわず 眺めていた 二人そのとき
張りつめた空気 引き裂いて
鳥たちが羽ばたいてゆく
Oh
見せてあげる 燃える朝焼け
夜が明けるまで 俺といなさい
見せてあげる 燃える朝焼け
- 作詞者
岩下啓亮 Sardine
- 作曲者
岩下啓亮 Sardine
- レコーディングエンジニア
岩下啓亮 Sardine
- グラフィックデザイン
Kisakino Mina
- ボーカル
岩下啓亮 Sardine
- ピアノ
岩下啓亮 Sardine

岩下啓亮 Sardine の“深夜ソナタ (月を撃つ 黒い空 燃える朝焼け)”を
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ストリーミング / ダウンロード
過去に録音した未完成の3曲をミニアルバムの形でリリースします。
いつかはちゃんと録音しようと考えているうちに四半世紀が瞬く間に過ぎました。後悔することしきり、ですが、不完全なままでも、世に放ちたいとの思いが勝りました。
願わくは誰かが引き継いでくれればいいのだけど。と、あてのない望みを抱いています。
なお、ジャケットは、昨年リリースしたシングル『夏の記憶』と同様、Kisakino Minaさんの撮影した写真にしました。
アーティスト情報
岩下啓亮 Sardine
鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。
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