ねえ 誰?そこにいるのは その大きなお腹は何?
そこには私がいるべき 渦巻く怨情 笑顔で封じ込めた
「おめでとう よかったね」と 心にもなく はしゃいでみせる
私はただの「友達」と 嫌でも突きつけられた事実
抑えようと 暴れ狂う 淀んだ波が 胸をひりつかせる
募る意趣は 燐火となり この手の先に 灯り 地へと伸びる
怒涛と化す想いは身を食い破り 玉響(たまゆら)に逢魔時(おうまがとき)を呑み込む
風寒の宴の野は坩堝(るつぼ)と化し 村人は残らず火に捲かれゆく
莫連(ばくれん)もその胎仔も 焦土の塵埃と散れ 己の立場知るがいい
幾年 時は流れて 貴方の側 支える私
これでいい こうあるべきなの 夢見心地の 蜜月の日々
ある日の白日の頃 家の扉を叩く小さな音
開けると そこにいたのは 背の小さな一人の男の子
「実は道に迷って…」遠慮がちに彼は話す
「それなら私、案内するよ」彼を導き 少し前を歩く
「どこから来たの?」「東の村です」「少し遠いね」
「狩りの獲物を追ううちに… ずる賢くて 隠れるのが上手いんです もう長いこと探し続けています」
無人の山のふもとを巡る 沼の中から覗く幾つもの割れた酒器
しまったと顔に出たらもう遅い 彼は見ていた 全てを そして呟く
「こ い つ だ」
泥濘に体が埋まり抜け出せない ねえ助けてそこで何をしてるの
手を伸ばして服を掴み剥ぎ取れば へばりついた火傷が全て語る
瞋恚(しんい)に満ちた瞳と尖り声が 母の仇村の仇と詰(なじ)る
油の雨炎の種降り注ぎ 瞬く間に業火となりて襲う
猛る朱は皮膚を犯し 悲鳴さえも焦がしていく
いやだなんでだしてたすけてああああああああああああああああああああああああああああああ
あの山火事で 村人は全員死んだ
あの日 生まれていなかった者を除いて
- 作詞
橘果那実
- 作曲
橘果那実
- プロデューサー
橘果那実
- ボーカル
重音テト
橘果那実 の“バンクシア (feat. 重音テト)”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
バンクシア (feat. 重音テト)
橘果那実
2024.08.07 Release
歌唱:重音テト
詞・曲・編・絵・動画:橘果那実→https://twitter.com/kanami323
https://www.nicovideo.jp/mylist/42153175
https://www.youtube.com/@tachibanakanami8853
off vocal→https://piapro.jp/t/AlHX
【あらすじ】
遥か昔、ある山村での出来事。
ある日突然、想い人から婚約者の存在を知らされた主人公。
しかもその女の胎には彼との間に出来た新たな命が宿っている。
長年想い続けていたのに、彼にとって私は所詮「友達」でしかなかった。
本来彼の隣にいるべきは私なのに。
婚礼の前日、あの女の故郷の小さな村で送別の宴会が行われるらしい。
嫉妬、怨嗟に呑まれた主人公の企んだこととは――
アーティスト情報
橘果那実
橘果那実(たちばな・かなみ) 植物を元ネタにした音楽(主に物語音楽)をたくさん作っている人です。 物語と音楽で多くの人の心を打ち、絵や小説などの二次創作で彩っていただけるようになりたいです。 いずれは野球選手の目に留まり、入場曲や試合を彩る曲に使っていただくことおよびそのような曲を作ることを目標に活動しております。 まずは登録者数500人を目指します。
橘果那実の他のリリース
重音テト