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「クリスマスの奇跡」

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それは、真っ白な雪が舞い落ちるクリスマスの朝のこと。ここちゃんは、街一番の仲良しの猫・ミーちゃんと
些細なことから喧嘩をしてしまいました。
窓辺でお互いをふてくされながら見つめ合う二匹。しかし、怒りに任せたミーちゃんが思わずドアから
飛び出してしまいます。ここちゃんはあわてて追いかけますが、ミーちゃんはもうずっと遠くまで
走って行ってしまいました。

やがて、ミーちゃんは駅の方にたどり着きました。電車のホームで立ち止まると、ふと「もう帰るのはやめようかな」
と小さな体を丸めていると、ちょうどそこへ一両の電車が停車し、気まぐれに飛び乗ります。こうして、ミーちゃんは
ここちゃんのいる町から、遠く100キロも離れた街へと運ばれていきました。

遠い町でのミーちゃんの冒険

新しい街に降り立ったミーちゃんは、寒さと不安からすっかり意気消沈し、街の端で震えながら丸くなっていました。
クリスマスとはいえ、見知らぬ土地ではどこにも行き場がなく、夜になるとさらに冷え込みます。すると、
街角の灯りの下で犬のマークが足を止めました。

「ん?どこかで見た顔だな…」

そう、マークはちょうどその日のニュースで「ここちゃんの家から行方不明になった猫」としてミーちゃんの
ことを見ていたのです。マークは心優しい老犬で、困っているミーちゃんを助けずにはいられませんでした。

「お前、ミーちゃんって言うんだろ?さあ、あったかい場所においで」

ミーちゃんは少し警戒しながらも、マークに導かれてマークの家へと向かいました。
マークのおかげで暖かい部屋に入ると、ミーちゃんは少し安心して、ぽつりぽつりと自分の思いを話し始めます。

後悔と再会

「ここちゃんと喧嘩なんてしたくなかった…でも、どうしても意地を張ってしまって…」

ミーちゃんの話を聞いたマークは、思わず「ふふ」と微笑みました。

「わかるよ。昔、私も友達と些細なことで喧嘩したことがある。でもな、
いつまでも待ってくれている友達ってのは、本当に特別なもんなんだ」

ミーちゃんはマークの言葉にしんみりと耳を傾け、だんだんとここちゃんに
会いたい気持ちがあふれてきました。そして翌日、マークはミーちゃんをここちゃんのいる
街に送り届けるため、早朝の電車に乗り込みました。

クリスマスの奇跡

家に帰ったミーちゃんとここちゃんは、寒さを吹き飛ばすような勢いでお互いに駆け寄り、
ぎゅっと体を寄せ合いました。ここちゃんの目には涙が浮かび、ミーちゃんも一緒に鳴き声を上げます。
二匹の間には、もう何もわだかまりはありませんでした。

マークは、そんな二匹を駅のホームからそっと見守り、静かに街へと帰っていきました。

それからというもの、ミーちゃんとここちゃんは二度と喧嘩することなく、
クリスマスのたびにマークに「ありがとう」と心の中でつぶやくのでした。